(大分県NF/60代女性/主婦)
「何を言っても、この人には届かん。頼りにならん」。夫に向ける「諦めの心」は、年々膨らむばかりでした。
神の教えで見えた自分の課題
夫はとにかく口が重い人。何を話しても思うような返答が得られず、「これなら自分で判断した方がいい」と思う日々。「あんたは頼りにならん」そんなきつい言葉も、平気で口にしていたのです。一人で背負い込み、弱みを見せられずに思いをのみ込んで…。無理を重ねた挙げ句、高熱で倒れる。そんなことを繰り返していました。
同居の義母とも、うまくいっているとは言えない関係でした。その義母は、5年前に脳梗塞の後遺症で寝たきりとなり、施設へ。しばらくして、ふと思ったのです。「神は何度も家族の大切さを教えてくださっているのに、これじゃいかんよな」と。神の教えを自分に照らしてみると…。「家族の基本は夫婦。夫には何でも話せばよかったのに、頼れないと決め付けていたのは私。私が頼らなかったんだ…」。そう気付いた時、目の前がぱっと明るくなりました。
夫を頼ってみると…
それからは何でも話し、「お父さん、どう思う?」と聞くように。最初は相変わらず黙ったままでした。でも、返事を待つようにしてみたら、口数は少ないものの、「うん、そうやな」「そうした方がいいな」などと、返してくれるようになったのです。
車の運転に不安があるときは、「一緒に連れてってほしいんや」。こんな言葉、前の私には絶対言えませんでした。夫も、以前だったら、「忙しい」と断ったはず。それが気持ちよく連れていってくれるのです。夫は頼れる人でした。夫も頼られたかったのかもしれません。お礼を伝えると、素っ気ないそぶりをするものの、表情にはうれしさがにじんでいました。
義母への気持ちも変わって
夫婦の関係が変わったら、不思議なことに義母への気持ちも変化。いろいろな感情が流れ、何だかかわいく、いとおしくなったのです。認知症が出てきて、私たちのことが分からなくなっても、顔を見せると笑ってくれて、思いが届いているのを感じました。そうして今年、義母は、穏やかに心の世界へ旅立ったのです。夫と話し合い、玉納奉寿(葬儀)で送ることができました。心からの感謝を引き出していただき、皆の心が、義母をたたえる思いで一つになった、忘れられないひとときとなりました。
深まっている家族の縁
最近、夫への見方がさらに変わりました。不器用なだけで、家族に対する愛が誰よりも深い人と。夫の良さをつぶしてきてしまったことを反省し、「私の愛で包んであげたい」思いが膨らんでいます。温かい気持ちが伝わるのか、息子や孫が、茶の間にいる時間が長くなってきました。嫁いだ娘も、頻繁に様子を見に来てくれて、家族の縁の深まりを感じます。今後ますます愛をかけ合う関係を築き上げ、自信を持って、子供たちに背中を見せられる夫婦を目指します。
家庭の価値を正しくつかんだ
人間(もの)は
必ず家族に愛情(あい)を向ける
――仕合せの基は 和のある家庭――
家族で「教え」を学ぶほど
家族の心は安定し
互いに声掛け 愛情(あい)が育つ
家族の心をつなぐ愛情(あい)が
家族の実体を高め
「心の道」を太くしてゆく
(令和6年7月23日 信者心の基勉強会 家庭編『友輪』342号20ページ〈中略あり〉)