No. 496

神から頂いた宝の時間
バラバラだった心が…
(横浜市EK/60代女性/主婦)

2月にしては暖かく、雲一つない晴天の日、夫は静かに旅立ちました。「悪性リンパ腫のステージⅢ」の診断から15年。最後まで頑張り抜いた人生でした。

命の瀬戸際で気付いたこと

一級建築士の夫はプライドが高く、「ありがとう」「ごめん」を言わない人。大事なことはいつも事後報告で、「私は愛されてないの?」と、何度涙したか知れません。そんな中、突然始まった闘病生活。私は、自分が家を支えなければと必死で、夫のつらい心を支えられませんでした。口を開けば言い争いが勃発し、家族の心はバラバラになりました。

その間にも、がんは夫の体をむしばみ、一昨年、とうとう危篤に。こんな瀬戸際になって、私は初めて悟りました。夫がどれほど大切な存在か…。必死で神に救いを求め、奇跡的な回復を遂げ、退院までかなったのです。

心が元気でいられる奇跡

神から頂いた時間だと思いました。本気で心を入れ替え、夫に「今まで優しくできなくてごめんね」とわびました。そして、できることは何でも尽くしました。

夫の体は少しずつ、でも目に見えて弱っていきました。ところが、心は驚くほど元気なのです。「このままじゃ、おまえたちに何もしてやれない」そう言って、子供や孫のことをいつも気に掛けていました。医師から「もう治療法はない」と言われても、「自分でできることは自分でやる」と、食事やシャワー、トイレも一人で頑張るのです。

愛し、愛されていた実感

最後の一カ月は自宅で過ごしました。「こんなに話すの初めてだね」と笑い合いながら、本当にいろいろな話をしました。新婚時代に戻ったような、仕合せな日々でした。

亡くなる数日前、夫は「大事な話がある」と、ぽつりぽつり話し始めました。「おまえには、つらい思いばかりさせた。よくオレを捨てなかったな。何でオレなんかと結婚したのか…。ずっと不安だった」驚きました。初めて聞いた夫の本音だったからです。

私も本心を伝えました。「あなたは20代の時から、お義母さんの介護をした優しい人。そんなあなただから寄り添いたいって思ったの。何年たってもその思いは変わらない」と。夫は照れくさそうに、普段言わない「ありがとう」を言ってくれました。

日に日に深まっていく愛

夫は、亡くなる日まで神に心を向けていました。「朝6時だから祈願しよう」と言って神に手を合わせた後、しばらくして体を横たえ、眠るように息を引き取ったのです。

玉納奉寿(教会葬儀)の時、棺に眠った夫は、笑みを浮かべていました。その顔を見た瞬間、私の中にくすぶっていた悲しみも苦しみも、全てがサーッと流れていきました。「いろいろあったけど、全部いとおしい時間だった」と、心底思えたのです。神のお力を感じ、感謝で心が震えました。

もう会えない。会話もできない。でも、夫への愛は日に日に増しています。「生まれ変わってもまた結婚したい」と思うほどです。これからは、夫が残してくれた子供たちとの縁を大切に、深めていきます。

神示で確認 「喜び」の仕組み

――人の心は生きている――
和のある家庭築くほどに 人の心は生き生きするもの
 環境変化 時代の中で 人の心は揺れ動く
 悩み 迷うは 人の常
    なれど 心安定するほど 人の思いは流されない
家族それぞれ 思いを語れる家庭には
    心迷うも 心悩むも 苦しい思いは残らぬものなり
 夫婦 親子それぞれに 立場わきまえ 思いを語り合う家に 神の心は育つのである

『真実の光・神示 平成19年版』91ページ

神示で確認 「喜び」の仕組み

――人の心は生きている――
和のある家庭築くほどに
    人の心は生き生きするもの
 環境変化 時代の中で
    人の心は揺れ動く
 悩み 迷うは 人の常
    なれど 心安定するほど
      人の思いは流されない
家族それぞれ 思いを語れる家庭には
    心迷うも 心悩むも
     苦しい思いは残らぬものなり
 夫婦 親子それぞれに 立場わきまえ
    思いを語り合う家に
      神の心は育つのである

『真実の光・神示 平成19年版』91ページ