(宮崎県MM/70代女性/主婦)
ドンと音がするたび、「お父さん、また転んだの?」。息子と心配していたところ、ある日、歩けなくなったのです。診断は硬膜下血腫。緊急手術になりました。さらに、入院中にS状結腸がんが分かり、そちらも手術。幸い、転移もなく、抗がん剤治療もせずに済みました。
がんまで早期発見でき、神のご守護のおかげ…と感謝でいっぱいでしたが、当の本人はどこ吹く風。そんな様子に腹が立ち、責めてしまう心が苦しくて、教務相談を受けました。「相手に求め過ぎないこと。相手の気持ちを大切に…」と教えていただき、あらためて、自分の課題を見詰め直したのです。
これまでの自分を振り返ると…
もともと口の重い夫は、話し掛けても、首を縦か横に振るだけ。「お父さん、これ食べる?」と聞けば、「食べん!」と鋭いひと言。心が傷つき、不満が蓄積していきました。でも、冷静に振り返ると、私の方こそ“主人の気持ち”など、考えたこともなかったのです。返事を求め、意に沿わなければ、心の中で責めていました。
そんな自分を変えたい。祈願をするうち、次々に思い起こされた主人の優しさ。私が寝込むと、黙って家事をしてくれる。障害のある息子に愛情を注ぎ、休み返上で協力してくれた…。言葉にはしなくとも、いつも家族に寄り添い、支えてくれていたのです。なのに、私の求め過ぎる心が、その優しさをかき消していた…。申し訳なさに心が痛みました。
そばにいるのが当たり前だった夫の、1カ月を超える入院。「お父さんがいないと、こんなにも寂しいんだ」としみじみと感じ、初めて、存在の大きさに気付きました。
ひと言に詰まった夫の思い
ある時、帰ろうとする私に、夫が「ありがとう…」と声を掛けてくれました。驚きました。極度の照れ屋で無口な主人からの、精いっぱいのひと言。何よりうれしくて、胸が熱くなりました。
退院が決まると、転倒防止の手すりを付けてくれた娘夫婦。息子は、帰宅してすぐにお風呂に入れるよう、準備を万端に。そして、我が家で、気持ちよさそうに湯船に漬かる夫。その様子に、「協力し合える家族って、本当にいいな…」と、この上ない仕合せをかみしめました。
心が通い合うことを実感
最近は、何かと夫に声を掛け、ささいなことも相談しています。すると、夫の言葉が柔らかくなり、返事もしてくれるのです。何より、夕食以外は自分の部屋で取っていた夫が、一日3食、一緒に食べるように。私にとっては、とてもうれしい変化でした。今でも、一方通行の会話になることはありますが、そこには、以前とは違う居心地の良い空気が流れています。
時間はかかりましたが、ようやく「家庭の大切さ」に気付くことができ、本当に良かったです。ここからが私たちの再スタート。さらに心通い合う家庭を、夫と一緒につくり上げていきます。



仕合せの基(もとい)は 和のある家庭
出会いに感謝し
思い(愛)を深めるほどに
「生きる」喜びが広がってゆく
支え 補う気持ちを忘れてはいけない
家族の心重なり合うほど
真の「仕合せ」
我が家に根付くと申す
『真実の光・神示 平成23年版』115ページ(中略あり)


