(大分県TK/60代女性/パート)
幼い頃、両親の仲が良くない我が家が嫌でした。父は、短気で、自分の思いどおりにならないと暴言、暴力。母は何も言わず、じっと耐えるだけ。それがつらくて、いつしか父を憎み、私が母を守らなきゃという思いが芽生えました。やがて両親は離婚。私は、母と弟と3人で穏やかに暮らしてきました。
ところが、父が亡くなったと知ってから、母の本音が吹き出してきたのです。「あの時も、この時も、どれほど泣かされたか」と、止まらない愚痴の数々。人を悪く言わない、優しい母だと思っていたのに…。つらくなってしまい、「そんなこと言わないで!」と、口論になることが増えました。
穏やかに暮らせた理由は…
ある日、「お母さん、本音を言わんから、お父さんに伝わらんかったんよ。我慢は駄目!」と言いながら、気付いたのです。「今までの穏やかな家庭は、母の我慢の上に成り立っていたんだ」と…。そんなうわべだけの家族は嫌! 何でも、本心から話せる親子になりたい。そう思った時、「お母さん、本音を言っていいんよ」。涙ながらに伝えていました。
それからは、まず母の話を聞いて、思いを感じ取ろうと心掛けました。すると、会話に変化が出てきたのです。ポツポツと、自分の人生を話してくれる母。何を考えて生きてきたかが分かるにつれ、言葉だけで、愚痴と決め付けることがなくなりました。母の生き方に思いをはせると、自分のことはいつも後回しで、家族や人のために黙々と動く姿ばかり。何てすてきなんだろう…。今生で出会えたことに、感謝の気持ちが湧き上がってきたのです。
父への思いも劇的に変化
父のことも、“言葉の奥底にある、心を感じる”。この視点で振り返ると、全てに合点がいったのです。母に「そんなことせんでいい!」と怒鳴っていたことは、「俺がするから、おまえは楽にしていろ」という、父なりの愛情表現。言葉は厳しかったですが、子供の私にも、人として大切なことを伝えたかったんだと思えました。父は、私たちを愛してくれていた…。憎む心が流れ、「お父さんのおかげで、今の自分がいる」と、その存在を認められたのです。
母の心情に触れ、心温まる毎日
今は、母と穏やかな会話を楽しんでいます。ある時、「あなたが、下の子を見てくれて助かったんよ。ありがとう」と母。そんなふうに私のことを思ってくれていたんだ…と、うれしくてたまりませんでした。またある時は、「お母さんと一緒におられるけん、仕合せ」と言う私に、「私の親は早く亡くなったから、子供のために長生きしたい一心できたんよ」との言葉が。聞いたことのなかった心情に触れて、胸が熱くなりました。
たまに、父への愚痴は出てきます。でも、今の私は、夫婦でもっと仲良くしたかったということの裏返し…と本心を感じ取れます。「お母さんの心、分かるよ」と、癒やしてあげたいのです。亡き父にも、母と仕合せに暮らしていくから安心して…と思いを届けています。
実は、私も母に似て、我慢して本音を言わないところがあります。あの時の気付きがなければ、お互いの本心が分からないまま、父を憎み、母まで嫌う人生になっていたはず。そう思うと、どれだけ心を救っていただいたか知れません。あらためて、家族と出会えたことに感謝。これからも、見えない心を感じ取り、思いを伝え合う毎日を送っていきます。



「家庭」とは何か
「心の道」に思いをつなぎ
親から子へと「夢」を受け継ぐ
「心(魂)」安らぐ環境が
「家」である
「家庭」の意味(真理)を
よくよく悟りて
家族それぞれ
思いを語る「家」を築けよ
思いがつながるほどに その家は栄え
先祖の心(魂)も安心 安泰
『真実の光・神示 平成23年版』14ページ(中略あり)


