(佐賀県YE/70代女性/主婦)
「精密検査を受けてください。大きさや位置を見ても、早い方がいいですよ」。乳がんの再検査通知とともに言われました。私は、兄と叔母をがんで亡くしています。「すぐに夫に話さないと」。ショックを受けつつ思いましたが、帰宅後も、なかなか言い出せません。夫自身も、大切な身内をがんで亡くしているからです。「話したら、きっと心配を掛ける」。そう思うと、途端に言葉が出なくなってしまうのは、幼い頃からの癖でした。
一人で“処理”してきた思い
小学生の頃、私はふとしたことがきっかけで、両親が「育ての親」であると知りました。それ以来、「親に心配を掛けてはいけない」という思いが募り、悩みや迷いは自分一人で“処理”するように。それは家庭を持っても同じでした。神の教えを学ぶと、「夫と何でも話さなきゃ」とは思うものの、以前、胃や大腸が再検査になった時も、ついに話せないまま。気が付けば、そんな日々がもうずっと続いていたのです。
思い切って夫に話してみたら…
「今度こそ」と思いながら、その日もあっという間に夜に。いつものように、夫と教会図書の読み合わせを始めて、ハッとしました。楽しいことも、困ったことも、家族は何でも話し合うとあったからです。そうだ、その大切さを、私は何度学んできただろう。教えが真っすぐに心に響き、「ちゃんと話そう。そして支えてもらいたい」と、素直な気持ちが込み上げました。
すぐに、「心配掛けるけど…」と前置きをしながら伝えました。意外なことに、夫の表情は崩れません。それどころか、しっかりと私の目を見て、「大丈夫、大丈夫。絶対大丈夫だから」と言ってくれます。その温かくて力強いこと…。病への恐れも、抱えてきたかたくなな思いも、きれいに解けていくようでした。そして、後日受けた検査結果は「異常なし」。夫と二人で喜び合ったのです。
常に声を掛け合える二人に
この日から、私と夫の会話は大きく変化。きょうの出来事や、ちょっとした冗談、さらに昔は話せなかった思いまで…。それこそ、「何でも」話し合っています。黙っていたから誤解をさせたと知って、「言えばよかったね」と二人で笑ったことも。「再検査通知」は、このためだったのか…と思うほど、毎日が楽しくて仕合せです。時にためらうことがあっても、「私が言わなかったら、夫も話せないだろう」と思うので、ちゃんと言葉にできるようになりました。
実は、私にはもう一つ、うれしいことが。夫がよく言う「大丈夫」。かつては、心の中で「何が大丈夫なの?」と反発したこともあったのです。けれど、常に声を掛け合えるようになった今、「頑張り過ぎないで。気負わなくていいよ」という夫の優しさをひしひしと感じます。私の心が開いたから、夫の思いを感じ取れるようになったと思うのです。夫婦の会話には、驚くような「力」がある。それを日々実感しています。
家族で「教え」を学び
日々の事物を
折有るごとに語り合う
家庭をつくる
自然と
「真理」が家族の心に見えてきて
会話は弾み 愛(信頼)が深まる
「真理」が
家族の心(気持ち)を一つに重ね
愛(愛情)を育む会話が生まれる
――仕合せの基は和のある家庭――
互いの心が一つにまとまり
重なる家庭に
運命は磨かれてゆく
『真実の光・神示 令和2年版』158ページ(中略あり)