外国船の船乗りだった夫は、家に帰るのは年1回。当時は携帯電話もなく、手紙を書いても、返事は1カ月後。ですから、母子家庭のように子育てをしてきました。
私にも「できてない」ところが
それなのに夫は、たまに家に帰ると、受験のことなどで意見を押し付けてきます。「たまにしか子供を見てないのに!」と責めました。夫がいてもいなくても苦しい…、そういう日々の連続でした。
神の教えを学んだ時、「お父さんのことばっかり言えないな」と思いました。「私もできてない」。一番反省したのは、自分の考えの強さです。何でもズバズバ言う夫を無神経と思っていましたが、口げんかのときなど、私も同じくらい強かったのです。
「もっと夫の話に耳を傾けなければ」と思いました。夫が家に戻ってくるのは、1年の中で数カ月。その時を逃さず、聞き役に徹しました。そのうち、夫なりの親心が見えてきたのです。子供たちを、国内の港に連れて行ってくれたり…。そうして私たち夫婦の心は、少しずつ通い始めました。
病を治すのは医者だけじゃない
働き者の夫は、50歳で船を下りた後、警備会社を立ち上げ、私も楽しく一緒に仕事をしていました。ところが、今年の5月、夫に肺がんが見つかったのです。
「余命半年」との診断。その後、食道にもがんが見つかり、在宅看護になりました。教務相談で、「体の治療をするのは医師の仕事。家族には、夫の心に元気を与えていく役目がある」と教わり、「私に何ができるかな」といろいろ考えました。本来なら絶望してもおかしくないのに、そんなことを前向きに考えるほど、私の心は、不思議と神に守られていました。
家族の重なりが与える影響
点滴と、酸素吸入を付けての生活です。わずかでも口にできる流動食を、一生懸命作りました。でも、一番喜ぶのは、孫たちと話すことかな…とも思い、「おじいちゃんに楽しい話をしてあげて」と頼みました。
小学生の孫が、照れながら「僕、委員長になったよ」と言うと、「学級委員長か」と夫。「そんなすごくない。掃除委員長や」と孫が返すと、「ほう、何でもいいぞ。委員長になったのはすごい!」。夫のそばにいると、みんな笑顔になるのです。訪問看護師の方が、「がん末期だと、本人も、家族も苦しんでいることが多い。でも、ご主人は痛みもなく、家の空気も明るくて、あったかいですね」と驚いていました。
夫婦の絆が深まっていく喜び
夫の顔色が良くなって、朝起きると、「きょう、わしは何をすればいい?」と聞いてきます。「ベッドの上でも、家族の役に立ちたい」という夫の気持ちが見えて、尊敬の思いが増す一方です。
最近、夫が涙ぐむので、「どうしたの?」と聞くと、「おまえには感謝しかない。本当にありがとう」と言ってくれました。私も、「お父さんと一緒になれてよかった」と初めて伝えました。さらに深まった夫婦の絆。よわい80を前に、「夫婦仲良く」がかなっている今に感謝しかありません。
人間は 家族との関わりの中で 生涯を歩み 「心の道」をつないでゆく
結婚 出産 別れ 全てが家庭の中で起きる営み
人間は誰も 老いて 終日を迎えてゆく
その時 家族の縁が 悔いを残さず「生きる」 心の支えと成る
「教え」に生きる家庭 家族は
会話にあふれ 互いの「運命」を重ね 補い合って「生きる」強さがある
「教え」のある家庭には 家族の心が重なり合って 不安 迷いは起きない
人間は
家族との関わりの中で 生涯を歩み
「心の道」をつないでゆく
結婚 出産 別れ
全てが家庭の中で起きる営み
人間は誰も
老いて 終日を迎えてゆく
その時 家族の縁が
悔いを残さず「生きる」
心の支えと成る
「教え」に生きる家庭 家族は
会話にあふれ
互いの「運命」を重ね 補い合って
「生きる」強さがある
「教え」のある家庭には
家族の心が重なり合って
不安 迷いは起きない
『真実の光・神示 平成29年版』14ページ(中略あり)