No. 891

非行少年と向き合う30年
短気な自分が「根気強く」
(茨城県HI/50代男性/公務員)

法務教官として少年院などに勤めて30年。詐欺、薬物、窃盗、暴行…。少年たちの犯した罪を消すことはできなくても、「もう一度人生をやり直したい」という気持ちを持ってほしい。健全な社会人になってほしい。この一心でやってきた30年でした。

しかし、「詐欺を働いたのは、大人の手先を務めただけ」などと、入ってきた当初は違法行為に抵抗のない少年も珍しくないのが現実です。時には職員に露骨に反抗する子や、決まりを全く守らない子もいます。本来の私は、根っからの短気な人間。かつては、キレそうになったことも一度や二度ではありません。そんな私が、ただの一度も爆発することなく、むしろ少年院で過ごす時間に喜びを感じているのは、神のご守護以外に考えられないのです。

かけた分だけ返ってくる思い

親に見放された寂しさ、院での人間関係がうまくいかないもどかしさ、将来への不安など、子供たちの心は常に葛藤しています。数回関わっただけで、心を開いてくれるはずもなく、とにかく時間はかかります。でも、根気強く向き合っていけば、その愛が伝わって、少しずつ心の内を吐露してくれるのです。

初めは反抗ばかりしていた子が、決まりを守るようになっていく、被害者への反省の言葉を口にする…。少年院で過ごす中で、その子なりの成長が見られます。初めは心を開かなかった少年から、「ここに来て、初めて信頼できる大人に出会えた」と言われた時は本当に驚き、うれしかったです。

今は事務職が主となり、書類の決裁などを担っていますが、ここでも根気強さが役立っています。職員は何十人もいるため、当然、意見が割れることもあります。だからこそ、一人一人と話す時間をつくって向き合う。それが結果的に職員の結束につながり、少年たちにも良い関わりが持てるのです。

どこまでも仕合せを願う思いで

この仕事の一番の喜びは、何と言っても、院を出た少年たちの、健全に生きる姿を見ることです。といっても、個人的なやりとりはできないため、ほとんどの子はどうしているか分かりません。それでも、「元気にやってます! 仕事も頑張っています」と電話をもらったり、社会で活躍する姿を偶然耳にしたり。神が、こうした体験を通して、私に喜びを下さっていると思えてなりません。

少年たちに向き合う思いは、昔も、今も、これからも、絶対に変わらないと断言できます。何十年も仕事への信念を枯らさずに「持ち続けられる」のは、何とありがたいことでしょう。そればかりか、お金では得られない生きがいまで頂く日々です。神が与えてくださった仕事と思い、これからも励んでまいります。

心で生きる人間は 出会い広げるほどに 生きがい 喜び多い人生を歩んでゆける
仕事――縁を生かし 相手の仕合せ願って生きんとする心を申す
 この心芽吹くほどに 奉仕心の貴(たか)さも見える
心豊かに奉仕に生きんとする者(人生)は 人の心に「生きる」勇気と自信を与える

心で生きる人間は
  出会い広げるほどに
    生きがい 喜び多い人生を
      歩んでゆける
仕事――
  縁を生かし
    相手の仕合せ
     願って生きんとする心を申す
 この心芽吹くほどに
    奉仕心の貴(たか)さも見える
心豊かに
  奉仕に生きんとする者(人生)は
   人の心に
    「生きる」勇気と自信を与える

『真実の光・神示 平成18年版』248ページ(中略あり)