No. 553

人生は「恩を返せる時間」
実を結んだ震災復興支援
(岩手県TK/70代男性/公益法人理事)

東日本大震災で、私の人生は一変しました。変わり果てた姿で見つかった両親。さらに妻も行方不明で、何日も避難所を駆けずり回りました。妻の名前を大声で叫び、「ここよ!」と走ってきた妻を見た時の安心感は、今も忘れられません。泣いてなどいられない。頂いた命を、人のために役立たせて生きていこうと、心の底から誓った瞬間でした。その後、仮設住宅に移り、復興支援活動を始めたのです。

軸にあったのは調和の心

私が行った支援は、仮設住宅の方々が孤立しないよう、常に気に掛け、相談役になることです。大切な家族だけでなく、住む家さえも失った人たちの心の傷は深く、神の教えなしでは到底なし得ない任でした。

「物音がうるさい!」と隣人に怒鳴る人、「仕方ないだろう!」と感情的に返す人。トラブルは日常茶飯事でした。そんなときは「どちらが正しいか」ではなく、「心を理解してさしあげたい」と神に願い、双方の話を最後まで聞きました。不思議とお互いに穏やかな表情へと戻っていくのです。

私の方が頂いていた喜び

皆さんの交流の場として作った家庭菜園での出来事です。農家の人が育てた物はやはり出来が良く、「お宅のはいまいちだね」と競いがちでした。それでも、「○○さんの所は日当たりが悪いけど、立派に育ってるね」「風が強く当たるのに、よくここまで持ったよね」などと関わっていくと、皆さんも「確かにそうだ」と、険悪な雰囲気にならないのです。取れた野菜を持ち寄ってバーベキューをした時は、「みんなで作ったから、どれもおいしいね」と笑顔いっぱい。私の心は、感動いっぱいでした。

こうして、住民同士の絆が深まり、自然と支え合うようになっていきました。それぞれに転居先が決まって引っ越すときは、どれほど名残惜しかったか…。皆さんとの出会いから、私が「役立つ喜び」を頂いていたのです。こうした支援活動を評価していただき、2年前には天皇陛下ご臨席の式典への招待まで賜り、本当にありがたく思っています。

きょうも人に役立つ生き方を

今年の4月、全ての家族が仮設住宅から退去しました。今は、震災の語り部として大忙しの毎日です。子供たちからの「大切なお話を聞かせてくれてありがとう!」に、「うれしいよ。ありがとう!」。語り部としても「役立つ喜び」を頂いています。

絶望の淵にいた震災直後。神に心を立て直していただき、妻に支えられて歩んだ10年でした。人は一人では生きられない。人のお世話になりながら、人生を全うする存在と強く感じます。「生きる」というのは、恩を返す時間を頂いている…ということ。きょうも「誰かのお役に立てますように」と神に願い、私の一日が始まります。

神示で確認 「喜び」の仕組み

変化にのみ込まれずに 社会に奉仕する心(真理)を知って 日々生きる
「道の真理」を知って日々歩むところに
    人間は 「人生」あるべき心の姿に 気付き 悟りを深める
 「教え」に生きる人は皆
    人生の尊さに気付き 人との出会いを大切に「生きる」心(信念)の人を目指す

『真実の光・神示 令和2年版』8ページ(中略あり)

神示で確認 「喜び」の仕組み

変化にのみ込まれずに
  社会に奉仕する心(真理)を知って
    日々生きる
「道の真理」を知って日々歩むところに
  人間は 「人生」あるべき心の姿に
    気付き 悟りを深める
 「教え」に生きる人は皆
  人生の尊さに気付き
    人との出会いを大切に
      「生きる」心(信念)の
        人を目指す

『真実の光・神示 令和2年版』8ページ(中略あり)