妻が亡くなって12年。子供も自立し、現在94歳になる義母と二人で暮らしています。「お婿さんなのに大変ね」と言われますが、私自身は少しもそう思いません。
大切なのは人を思いやる心
先日、「少し散歩をしよう」と二人で出掛けたところ、義母が転んで腕を骨折してしまいました。パニックになった義母の姿に、「大変!」と、私も一緒になって心が揺れてしまったのです。でも、こんなときこそ、神の教えを生かさなくてはと、義母が安心できるように温かい言葉で励まし続けました。「お義母さん、ちゃんと治療すれば必ず治るから、大丈夫だよ」「よくなろうという気持ちが大切だからね」と。
以前だったら、揺れた心のまま、きつい言葉を発していたかもしれません。私は、自分の思いにとらわれると、相手の気持ちを考えもせず、「こうするべき」と、頭ごなしに責めるタイプだったからです。その性格のせいで、何度となく孤独感にさいなまれてきました。
神の教えを通して、人と心を重ねる大切さに気付いてから、私は変わりました。相手の気持ちを思いやり、優しい言葉で会話することを心掛けるようになったのです。最初は、その場に合わせるために無理をしていたところがあったものの、次第に本心からの笑顔が増えていきました。義母の料理にも、「味が薄い」ではなく、「体に優しい味だね」と言える自分にまで変わりました。
縁あればこそできるお世話
義母がけがをしてからは、ゆったりと快適に過ごしてほしくて、より一層笑わせ、和ませようと意識しました。介護生活は周りには苦労と映るようです。しかし、かつて孤独を味わった自分が、今、義母と時を重ねられる仕合せ。縁があって親子になったからこそ、お世話ができる。少しでも自分ができることで役に立ちたい。不思議と、そんな気持ちでいられるのです。義母は、早くに夫を亡くし、一人で家を支えながら戦争を乗り越えてきた人です。性格の強さも、強くなければ子供を育ててこられなかったから。そう感じると、「義母をありのまま受け止めよう」と思えるのです。
今後も、多くの支えを頂きながら、ますます家族や周りの人との縁を深める生き方をしていきたいと思っています。自分が味わっている神と共に歩む喜びを、まずは兄弟に伝えていきたいです。