No. 434

相手の思いを感じとって
深まっていく家族の縁
(静岡県MK/70代男性/みかん農家)

5年前に妻を亡くし、娘と2人暮らしです。きちょうめんな娘に、細かいことを繰り返し言われ、ついむきになり、売り言葉に買い言葉になることもしばしば。こんな心のままではいけないと思い、みかん農家の仕事の傍ら、神の館へ足を運んだり、気分転換に友人と会ったりしていました。ところが、コロナ禍で生活は一変したのです。

娘の本当の優しさに気付いて

持病を抱えている私の身を案じた娘から、外出を控えるように言われました。しかし、神の館に行けないことなどとうてい受け入れられません。内緒で出かけて、「お父さん何考えてるの! コロナに感染したら、命の危険があるのよ」と本気で怒られたのです。

娘がどんな気持ちだったのか、これっぽっちも分からなかった私。でも、「心配してくれる子供さんがいて、仕合せですね」と声を掛けられ、はっとしました。娘がいてくれることが、どれほど仕合せか。誰よりも、私に元気でいてほしいと願ってくれたのは娘でした。それなのに、ぶっきらぼうな言葉にのまれて、言葉の奥にある優しさを感じ取れず、あまりに感謝が足りなかったと反省しました。

自分が変わって心が通い合う

それからの私は、「娘に信頼してもらえる自分になる」「感謝の思いを素直に伝える」を目標に、外出を控え、書籍や公式サイトで神の教えを学び続けたのです。そしてある日、夕食の片付けをする娘の後ろ姿に、やっと言えました。「あなたがいてくれることが仕合せ。一緒にご飯を食べたり、支えてもらったり。本当に感謝している」と。返事はなかったものの、それ以降、娘から返ってくる言葉や表情が穏やかです。

思わぬ喜びのプレゼントが

先日、一緒に食卓を囲んでいると、娘が「おいしいね、お父さん」と話し掛けてきました。しかし、あまり会話をしてこなかったので、照れくさくてどう返事したらよいか分からず、黙ってしまったのです。すると、「お父さん聞いてる? 返事してよ」と言われ、「おお…」とひと言。お互いに笑い合いました。何げないひと言が、これほど温かく感じられる。まさか、こんな日が来るとは、夢にも思っていませんでした。

ある時は、スマホで必死に公式サイトを見る私に、「目が疲れるから、私のタブレットを使って。使い方が分からないときは、私に聞いてね」と声を掛けてくれたのです。こんなふうに、娘が関わってくれることが何よりの喜びです。亡き妻に、2人で仲良く暮らす姿をこれからも届けていきたいと思います。