No. 274

コロナ禍の不安な暮らし
家族でつかんだ明るい兆し
(千葉県YH/50代女性/主婦)

夫は、音響関係の事業をしています。新型コロナウイルスの影響で、さまざまなイベントが自粛となり、夫の仕事は全くなくなりました。

我が家には、育ち盛りの二人の子供もいます。生活費が入らず、「大変なことになった」と、自宅にいて何もできない苦しさを語る夫。専業主婦の私に、「悪いけど、仕事をしてくれないか」と言うのです。夫が苦渋の思いで言っているのが伝わってきて、私は精いっぱい仕事を探しました。

両親の応援に力が湧いてきた

しかし、なかなか採用が決まらない日々…。そんな時、実家の父が「今は、夫を信じて支えることだよ」と声を掛けてくれました。夫を責めることもなく、実家のみんなが応援してくれて、どれだけ安心したか知れません。

夫の両親は、「悪いね…」と私を気遣いつつ、私たち夫婦を信頼してくれました。あらためて、親の存在に感謝でした。

先の心配も家族で分け合って

一方、実際の生活費を考えると、先の見えない不安が襲ってきました。そんな時は夫と会話して、気持ちを分かち合いました。

「貯金がなくなるまでは、大丈夫だよ」などと話すうちに、「二人で頑張れば乗り越えられる」と心が安定しました。休校で家にいた子供たちと、家族4人で明るく過ごせたのです。

何より、これほど夫の存在の大きさを感じたことはありませんでした。両家の親を大切にし、自分が疲れていても、家族のために動く姿が目に留まり、ますます尊敬の思いが込み上げてきました。

夫の優しさを感じると、私も穏やかな心でいられ、子供たちにゆったり接することができました。すると、何かと反抗的だった子供が、自分からいろいろと話すようになり、笑顔いっぱいの日々になったのです。

「調和」を学んだ自粛生活

その頃には、夫の仕事に明るい兆しが見え、私に「仕事はしなくて大丈夫。今までのように家庭を守ってほしい」と言ってくれました。

どんなに大変な環境でも、会話のあふれる家庭を築いて、家族の心を重ねていけば、乗り越えていけることを実感。コロナ禍による我が家の自粛生活は、「調和」を学んだ期間となりました。