No. 1782

降格になって気付いた
“本当のやりがい”

(静岡県KS/50代男性/IT企業勤務) 

昨秋、突然、降格を言い渡されました。35歳からずっと管理職だったのに、57歳で一般職。経緯も理由も分からず、到底受け入れられません。「俺がどれだけ支えてきたか、何も分かってない!」。取締役への不満も噴出。やる気をなくし、投げやりになりました。 

思えば、18歳で就職。コンピューターの知識などなかった自分が、「情報処理技術者」の資格を取得するのは、並大抵ではありませんでした。以来40年近く、がむしゃらに働いてきたのです。常に結果を求められ、あっちに行ってはぶつかり、こっちに行っては失敗しながら、必死に頑張ってきた。それなのに…。以前の部下が上司になり、頭を下げなきゃいけない現実。給料も大幅ダウン。周りの人たちの私を見る目も変わり、やりきれない気持ちでした。 

自分の過去を見詰めて 

来る日も、来る日も、苦しい思いを祈願し、学びを重ねました。そうするうちに見えてきたのは、上司に完璧を求めてしまう自分の性格でした。「上司だったら、これができて当たり前」と。しかし、どうして責めてしまうのだろうとも考えました。すると、認めてくれないことを責めているけれど、自分が上司だった時、“どれだけスタッフを認めてきただろうか”という思いが芽生えたのです。売り上げが命の営業。先の不安が付きまとっていた当時。つい「もっと、もっと」と部下に求めていた。上司もそうなのかもしれないと思えると、徐々に落ち着いてきました。そして、「こんな気持ちのままじゃ嫌だ。やりがいを持って仕事をしたい」と、今まで以上に神の教えを学ぶようになったのです。 

家族に本音が伝わると…

仕事のことを、家族に話す努力も始めました。最初は、ぽつりぽつり話すのがやっと。でも、続けていくうちに、いつしか、深い話までしていました。すると、「お父さんが仕事を頑張ってくれたおかげで、私たちがいるんだもの」「お父さん、定年になったら、自分のやりたいことをしてみたら?」。みんながいろいろな話をしてくれるのです。「妻子はいつも見てくれていたんだ。僕を大切に思ってくれる家族がいる」。それが分かって、うれしくてたまらなかったです。 

良さを生かすことから実行

ある時、“自分の良さって何だろう”と考えました。神経質だけど手は抜かないし、人の気持ちを聞いて、モチベーションを持続してあげるのが得意。だったら、それを生かしていこう! そう決めたら、人に認められるために仕事をする、という考えが薄らぎました。 

スタッフには、私から、折に触れて声を掛けています。「きのうはありがとね。助かったよ」。たわいもない言葉を伝えるだけで笑顔になり、事務所の雰囲気が変わります。そうしたささいなことに、何とも言えない“喜び”を感じるようになったのです。 

気付いたら、自分の意見が、不思議と社内で採用されるようになりました。さらに、他部署の方から、こんな声も。「最近、生き生きしてるね」「何かあったの?」。今はもう、肩書や給料の多寡にこだわっていた自分はいません。上司に対しても、距離を置きたい気持ちがすっかり薄れ、「何かあれば支えたい」気持ちでいます。 

笑顔の輪が広がる努力を!

考えてみると、体力もない自分が、40年もの間、仕事をさせてもらっています。それだけで「ありがたい」と思えるのです。降格の一件があればこそ、気付くことのできた数々のこと。生き方を、どれだけ豊かなものに切り替えられたか知れません。今後も、周りの人が笑顔になるように、自分にできることで精いっぱい関わってまいります。 

仕事――
 「運命」の力を社会に奉仕し
   多くの出会いを生かし合って
           成る果(もの)
「教え」を人生の支えに生きるほど
 人間は欲心のとらわれから解放されて
  「運命」の力を
      社会に奉仕する存在と成る
真の生きがいを手にした人々は
 神の手の中 人生(こころ)守られ
      「夢」を抱いて生きられる

『真実の光・神示 令和5年版』72ページ(中略あり)