No. 209

長年、苦労させられた父…
憎しみが消えた心の不思議
(大分県MS/50代男性/公務員)

長年、父への憎しみを抱えてきました。父の生き方は破天荒で、私が高校生の時に、両親は離婚。私は父に引き取られました。その後は、商売に失敗した父の借金を肩代わりするなど、散々苦労させられてきたのです。

教えから見えた正しい生き方

そんな父ががんを患い、余命わずかと分かりました。私は、「なるようにしかならない」と、冷めた気持ちでした。

しかし、妻に誘われ、神の館に足を運び、教えを学ぶうちに、人としての正しい生き方が見えてきました。神に、どうにもならない苦しい心の内を打ち明けると、不思議と穏やかになれる感覚も知ったのです。

長い空白を埋めた父との時間

折しも、「最期の時を共に過ごせよ」と神に言われているかのように、職場が父の入院先の近くに変わりました。

毎日父に会いに行き、たくさん話をしました。それまでの長い空白を埋められた気がしました。そうして一カ月半が過ぎ、家族がみとる中、父は穏やかに旅立ったのです。

教会葬儀で消え去った苦しい心

正直、心の中に消すに消せない憎しみがあったのも事実です。それが見事に消えたのが、後日、神示教会で行った葬儀でした。

式が進むにつれ、心が柔らかくなり、温かい思いが湧き上がってくるのを感じました。「今は、お父さんの気持ちが分かります。あなたの息子でよかった。ありがとう」と、述べている自分がいたのです。私の言葉を聞いて、妻や娘たちも涙を流していました。

長年、あんなに憎み続けてきた父への思いがいつの間にか流れ、「安心してほしい」「親孝行したい」と心底思いました。自分でも、この心の変化に驚きました。

その後、30年以上会う気持ちになれずに、音信不通だった実母と再会。家族を紹介し、父のことも報告できました。

生涯をかけて家族を大切に

父に対して、「もっとできることがあったのでは…」と落ち込む私を、妻は「お父さんは感謝しているよ。何よりの親孝行ができたね」と、優しく包んでくれました。「これでよかったんだ」と、私もやっと安心しました。

どんなことがあっても、許し合い、支え合うのが家族…。生涯、家族を大切にしていこうと、強く思っています。