No. 1806

着の身着のままの入院から
“心重なる”夫婦に

(宮崎県SM/70代女性/主婦) 

「今、このまま入院してください。準備はご主人に任せて」。突然の腹痛に対する医師の強い言葉で、30年ぶりの入院に。病名は虚血性腸炎。絶食しての点滴治療、安静に…と告げられました。「1カ月前に精密検査を受けたばかりなのに…」。以前なら、落ち込んでいたはずです。しかし今回は、何も考えず、まずは体を休めよう。そう思って始まった入院生活でした。 

夫との向き合い方を振り返ると

準備を頼んだものの、日頃から探し物が得意じゃない夫です。きっと困っていると心配していた私。ところが、届けてくれたバッグには、必要な物がきれいにそろえられていたのです。「僕は何度も入院しているからね」。体の弱い夫は、これまで8回、入院しています。冗談めかした言葉から、私を案ずる優しさが伝わってきました。 

一方の私は、夫の“心”を、どこまで感じ取れていただろうか? 健康のためとはいえ、「散歩に行かないの? 先生に言われたでしょう」などと形ばかりだったのでは…。「どうして行かないのか」。“心”を見ていない自分に気が付きました。夫が入院中、お見舞いに行くと、いつも明るく振る舞っていたけれど、本当は不安もあったはず。家族に会えない寂しさもあっただろう…。病室にいて、初めてその気持ちが分かりました。 

離れていても思いは同じ 

治療は順調で、最短の7日で退院。家に戻ると、早速夫に伝えました。「今までごめんなさい。あなたの心を思うゆとりが全くなかった」と。すると、普段あまり本心を話さない夫から、「家に一人はやっぱり寂しかった。僕が入院してた時、家を守ってくれて、ありがとう」の言葉が…。病院と自宅。離れていても、お互いを掛け替えのない存在と感じていた数日間。夫婦の心が重なるとは、こういうことなんだ…。温かい思いになりました。 

妻の役割を果たして

仕合せの基は、調和した家庭。夫婦は、木に例えると根と幹の間柄。お互いに支え合っているから安定します。それなのに、「一番つらいのは夫。私が支えなくては…」「弱音を吐いてはいけない」と、自分だけが支えていると思い込んでいたのです。何て自我が強かったのか…と、反省しました。 

最近では、何でも夫と話し合っています。自分の体調が優れない日は、「きょうは私も体がつらいから、家事を手伝って」と頼れます。何より、夫の気持ちに思いをはせられるように。人工透析もしている夫が、散歩を行き渋るのは、緊張や疲れもあるのだろう。そう思え、「今度、一緒に行こうか」などと、押し付けなくなりました。妻の役割は、運動や栄養管理ではない、心を支えること。今なら、よく分かります。少し前、夫の白内障と腹部大動脈瘤(りゅう)の手術が続いたときも、真っ先に“心”に思いが向きました。そして、「一つ一つ乗り越えていけば大丈夫よ」と、明るく励ませたのです。 

家族を見守り、心豊かな晩年を

若い時からあった胃腸の弱さを、ずっと抑え続けていただいた30年。今回の入院は、年齢とともに不具合が出たと受け止めることができ、心を守られたと感じます。これを機に、夫に向ける心が変わり、夫婦の絆が深まったことがありがたく、感謝しかありません。子供たちは、私たちの変化を感じたのか、「お父さんとお母さんは、ラブラブなんだね」と言ってくれました。結婚50年を過ぎ、本当の夫婦になれた思いです。このゆったりとした気持ちで、子や孫を見守りながら、夫と二人で心豊かな晩年を過ごしていきます。 

体調の変化を受け止め
       心の養生を日々心掛ける
「教え」を家族で学び
 「真理」で心(運命)重ねる家庭に
      人の心(人生)は守られる
体調を崩し 病名が付いたときにこそ
  「人生」の歩みを振り返り
   真の健康を手にする時と悟るべし

『真実の光・神示 令和3年版』24ページ(中略あり)