(宮崎県HK/50代女性/接客業)
私は、人と触れ合うのが大好き。だから、高校を卒業して40年、接客の仕事一筋できました。数年前に働き始めた温泉施設でも、準備、案内、清掃…とやることは山盛りながら、充実した日々を送っていました。
ところが、スタッフをまとめる係長の立場を頂いてから、純粋に仕事を楽しむ心が消えていったのです。会社から任されたのだから、誰に見られても恥ずかしくないように…。いつしか人の言葉や評価を気にしてばかり。持ち前の責任感の強さから、周りにも完璧を求めて、心の中で相手を責める回数が増えました。そんなある日、時間になっても、休憩室でおしゃべりをしているスタッフが目につきました。注意したところ、その場の空気が凍り付き、それ以来、気まずい雰囲気になってしまったのです。
独り善がりの関わり方を猛反省
「どうすればよかったのだろう…」。答えが知りたくて、教務相談に入りました。そこでの職員の言葉に、目が覚めた思いでした。「仕事は、一人ではできません。周りの人がいるからこそ、成り立つものです」。それまでの私は、「自分がしっかりしなきゃ」と気負うあまり、何でも抱え込み、一人で行動。“私ならこうする”と、人にも押し付けていたのです。何て独り善がりだったのだろう。相手にも心があって、一人一人、性格も考え方も違う。まず、そこを理解しようと、心に誓いました。
見えた! まとめるということ
次の日から、必ず皆に声を掛けて、一緒に働くことを意識しました。すると、今まで見えていなかった、それぞれの良さが分かってきたのです。ゆっくりだけれど、仕事がとても丁寧な人。パパッと手際が良い人。穏やかで、お客さまに気配りできる人。逆に、豪快な笑い声で、場を明るくしてくれる人…。まとめるとは、スタッフを自分の色に染めるのではなく、それぞれの個性が生きるように関わること。狭かった心の視界が、一気に開けた瞬間でした。
同時に、自分も完璧でなくていいんだと、肩の力が抜けました。苦手なところは、素直に教えてもらえばいい。そして、「ありがとう」「本当に助かりました」と感謝を忘れずに伝える。それを繰り返すうちに、だんだん職場が良い雰囲気に。本音を打ち明けてもらうことも増えました。体調が優れない中、無理して出勤してくれていたのが分かったり。きつい言い方をする人が、「私が言わないと、誰も言わないでしょ?」と、汚れ役を買ってくれていたり…。うわべの会話ではない、心の交流ができていったのです。
一回一回の出会いを大切に
「人生は出会いの連続」。教会図書で見掛けた、この言葉の意味をかみしめています。父を早くに亡くし、母と肩を寄せ合って生きてきた私です。きょうだいや身内をはじめ、多くの人との出会いが、自分の人生を支えてくれていると思うのです。もし、あのまま一人で突っ走っていたら…。きっと、係長という立場にのまれて、自分を追い詰め、人を責めて、どんどん人間関係を壊していたでしょう。大きな分かれ道で、正しい方へ導いていただいたと思います。
今、職場で、仲間と一緒に働けることが楽しくて仕方ありません。ますます役に立ちたい思いが膨らむ私に、お客さまから「いつも、本当にきれいにしてくれるわね」などと、うれしいひと言が。それが、何よりの生きがいになっています。人と関わる人生は、何て素晴らしいのだろう! 日々味わう感動を、笑顔で聞いてくれる母の存在が、また翌日の力になります。これからの人生、一回一回の出会いを大切に生きていきます。



人は 互いに心(気持ち)語り合って
我の存在確認しながら生きている
生きがい心にある者は
心の交流が図れているのである
人は 一人では生きてゆけない――
「心の真理」よくよく悟って
愛ある心を求めて祈願
人の道を守れば守るほど
心に生きがい 喜び広がって
我の人生明るく輝く
『真実の光・神示 平成16年版』64ページ(中略あり)


