No. 1630

夫の病、義母との関係…
心一つで次々訪れた奇跡

(宮城県SO/50代女性/主婦) 

「心臓移植も考えてほしい。最終治療です」。突然の医師からの電話でした。14年前に狭心症の手術をした夫は、日本中を転々と単身赴任。各地でできる医療を受けていましたが、突発性拡張型心筋症になり、心臓の筋肉が弱って、全身に血液が流れていかないと言うのです。強い薬でショック状態になり、意識を失っての、病院からの連絡でした。 

「夫はどうなるの?」心によぎるのは不安ばかり。夫の元へ飛んでいこうとしたものの、息子がコロナに感染。居ても立ってもいられず、偉光会館教務相談に駆け込みました。

自分の姿に気付いたら… 

あらためて振り返った夫婦関係。夫が家にいない生活。私は、何でも一人で決めて、育児や仕事でパンパンでした。帰ってきたときには、普段できない分、随分と夫は助けてくれましたが、「今やってほしいのは、それじゃないんだよなあ」と、心の中は不平、不満。感謝もなく責めるばかり…。神が教えてくださる立ち木の真理(※)を思い出し、夫に寄り添うこともなく、妻としての役割ができていなかったことに気付けたのです。「夫を責めずに受け止める。今、どんな思いなのかしっかり聞こう」。やるべきことが明確になりました。

病院に到着して、よく祈願して声を掛けると、見えてくるものがありました。「一家の主(あるじ)なのに」「自分が倒れたら、みんなを支えられない…」。夫の家族を思う気持ちがいっぱい伝わってきたのです。今までなら、「あなたも教えを学んで」と押し付けていたはず。でも、それより、私自身が教えを実践していこうと思えました。 

寄り添うほど、次々と奇跡が

ある日、医師から、心臓が止まった時に作動する、植え込み式の装置、ICDを勧められました。しかし、夫は拒否。そこで、ゆっくり気持ちを聞くことに。「車の運転ができなくなったら、仕事を辞めなくては…」「辞めた自分は何の役にも立たない」。葛藤を受け止めながら、「仕事だけでなく、役立つことはいっぱいあるよ」と優しく包んでいる自分がいました。 

夫は、病室に戻り、一晩じっと考えた末、メールをくれました。「家族に感謝が足りなかった」と。さらに、親が仕事で家におらず、祖父母に育てられたこと、男は外で働くのが当たり前と思っていた…とも。初めて聞く本音。うれしくて、いとおしさが込み上げて、「もっと私が変わらないといけない」と、さらに奮い立ったのです。それは、一緒に暮らす子供たちや義母への心遣い。温かく触れたい。夫が帰ってきたときに、安心できる家庭に! 母親との縁も深めてもらいたい! 

そう自分の心が変わると、夫は手術を受けてくれたのです。そして後日、この装置のおかげで、一命を取り留めることに。しかも、奇跡はそれだけではありません。何と、効く薬が出てきて、移植ではなく、投薬治療になったのです。 

離れて暮らしても、温かい家庭に 

それから1年後、義母は心の世界へ旅立ちました。私の変化を受け止めて、笑顔で応えてくれたおばあちゃん。玉納奉寿では、夫と二人、精いっぱい、感謝の思いで送ることができました。あの時決意して、関わり方を変えられたから、何の悔いもありませんでした。どれほどの奇跡を頂いたかと思います。 

ことしの春には、私は仕事も辞めて、子供たちとの時間を大切に、話をゆっくり聞いてあげる毎日です。もちろん、夫にもたくさん伝えています。先日、夫が言ってくれました。「ママ、変わったよね。いつも不満ばかり言ってたのが、今は、前向きで明るく、楽しそうにしている」と。誕生日には花を贈ってくれ、メッセージカードには「いつもありがとう。二人で頑張っていこうね!」のひと言が。本当の夫婦になれたと、胸がいっぱいになりました。 

家族の絆が深まりにくいものがあった我が家。だからこそ、どんな生活環境でも、「家庭の温かさ」を子供たちに伝えていけるように。夫と一緒に、お手本を目指して、ますます心を磨いていきます。 

家庭の価値を正しくつかんだ人間は
       必ず家族に愛情を向ける
 そこに
  自然と家族の関わりが深まり
    「真理」を 家族が求め始める
――仕合せの基は 和のある家庭――
 家族の心をつなぐ愛情が
     家族の実体を高め
      「心の道」を太くしてゆく
 病におびえることもなく
       事故・災難も避けられる

(令和6年7月23日 『友輪』342号20ページ〈中略あり〉)

※立ち木の真理;神が、家庭を一本の立ち木に例えられた真理。根である夫は、家族を支え、幹となる妻は、家族の心をつなぎ、枝となる子供は、何でも思いを語る。祖父母は、土として温かく心を包み、見守る。家族がそれぞれの役割を果たすところに、その家が栄えていく。詳しくは、『生命の歩み』75ページで確認できます。