(福島県KW/60代女性/調理師)
子供たちが巣立ち、夫婦二人暮らしになった我が家。夫は口数の少ない人で、私が何か尋ねても、首を縦や横に振るか、「好きなようにしろ」と言うだけです。「冷たい人…」と思いつつ、「まーた始まった。首振り人形だ」などと返す私。仕事は多忙だし、「お互い好きにできていいや」。あまり気にもしないまま、毎日が過ぎていきました。
次々に見えた「不健康」な心
体調に異変を感じたのは、半年ほど前のこと。医師に、子宮頸(けい)がんと告げられた時は、頭の中が真っ白になりました。それでも、心のどこかが冷静だったのでしょう。「何か気付けることがあるはず」と、おのずと偉光会館へ足が向いていたのです。
教務相談を受ける中で、自分の「心」が見えてきました。常にゆとりがなく、特に夫に対しては、「どうせ返事はないから」と、何でも自分で決めてきたこと。そういえば、「いつも事後報告だな」と言われたことも。きっと寂しかっただろうな。「好きにしろ!」は、私が言わせていたのかも…。心の不健康さに気付くたび、次々に反省が生まれました。
そうした心の変化が表れたのだと思います。自然と口調からキツさが抜けて、「ねえねえ、お父さん。これでいいかな」などと言えるのです! 私が穏やかだと、夫の返事も「そうだな」と温かく変化。夫婦は鏡のようなもの。夫を思う心で話し掛ければ、ちゃんと優しい気持ちと言葉が返ってきました。
驚くほど順調に進んだ治療
医師に「とても大きな手術になる」と言われた時、夫は親身に私の話を聞いてくれました。落ち込みそうなときは、祈願すると、家族の支えが見えてきて、心に力が湧き上がります。おかげで、手術は無事に成功。麻酔から目が覚めて、「これから始まるの?」と尋ねた私に、夫は、「ばか! 6時間半もかかったんだぞ!」。その言葉の強さから、案じてくれる気持ちが伝わって、思わず涙がこぼれました。
経過は驚くほど順調で、予定よりも一週間ほど早く退院。その後も放射線治療や、抗がん剤投与と続きましたが、全く副作用がありません。むしろ体重が増えて、看護師さんも驚いていました。
まるで変わった日常
少し前に迎えた私の誕生日。夫が突然、「長男が何か置いていったぞ。部屋を見てこい」と言い出しました。「え? 来てもいないのに??」。訳も分からず、息子の部屋へ。何とそこには、私がずっと欲しかった掃除機があったのです。「すごーい! ありがとう!」大感激していると、夫は黙って鼻をぴくぴく。その得意げな表情も、素直にプレゼントを渡せない不器用さも、いとおしい…。喜びが何倍にも膨らみました。
ほんの少し変わっただけで、これほど明るくなった私の心。神が繰り返し「家庭」と言われる意味を、強く実感しています。
「教え」で関わる家庭を築く
努力をするべし
自然と心は安定し
感謝の思いが
「人生」の迷いを消してゆく
成すべきことは
奉仕の心を知って
出会いを生かす心を欠かない
気持ちは 明るく 強く
人々に関わる思いが深まってゆく
この時に 人間は
真の健康を手にできる
(令和6年2月23日 信者心の基勉強会 健康編『友輪』341号18ページ)