No. 1026

正義感が強いのは「悪」?
貸し主人生、格別の喜び
(秋田県FC/60代男性/契約社員)

定年後も、契約社員として働かせていただき、勤続42年。高圧ガスボンベの点検の仕事です。働き始めたのは18歳。高3で父を亡くし、働くしかなかった日々の中、先輩に支えてもらい、ここまで来られました。だから、いつか自分も、人の背中を押せる存在になりたいと願っていました。

周りのうわさに振り回されずに

昨年、19歳の新人が入ってきました。工場長が、「人に会ったら、まず挨拶をしましょう」と教える様子に、思わず「どんな子なのだろう…」。しばらくして、周りから聞こえてきた声は、コミュニケーションが取れない、理解力が乏しい、空気が読めない…。つまり、「使えない」という話だったのです。

その子は、病院で注意欠陥障害と診断されたそうです。そんな中、私とペアで作業に就くことに…。彼の良さって何だろうと思った時、手を抜かず、一生懸命頑張るところと気付きました。うそもつかないし、誠実です。「今の、ボタンを押すタイミング良かったよ!」などと褒めながら教えていると、徐々に心を開いてくれました。幼い頃から友達の輪に入れないことや、自分に自信がないことも打ち明けてくれたのです。

あぶり出された心の癖

話せば、普通の青年です。できることで応援したいと、強い思いに駆られました。その思いに比例するかのように、彼のことを悪く言う周りへの不満が出てきました。

それを一番に察知したのが、妻でした。妻の励ましもあって、気持ちも新たに神の教えを学び、教務相談でも確認。彼の悩みにのまれる自分が見えたのです。感情移入をするあまり、「背負わなくてもいいことを、変な正義感で勝手に背負う」。自分の、悪い心の癖があぶり出されました。

見方が変わると、次々好転

「会社だって、彼を生かしたいはず」と思った時、いきり立った心がふっと冷静になりました。工場長に、自分の立ち位置で感じたことを伝えようと心が動き、「作業はゆっくりですが、誠実な子です」と話すと、「しばらく面倒を見てくれるか」との依頼。2人でいろいろ話す中で、若い人を育てようとする工場長の姿勢に感動。神の教えのおかげで、「正義感だけ」で動いていた狭い世界が、大きく広がったのです。

ある日の作業中、彼から、「一緒に仕事をさせてもらえてうれしいです」と言ってもらいました。ボンベの検査本数も、1日20本から目標40本に…。若いから教えたことをどんどん吸収するし、何より「やろう」とする本人の意欲を感じたのです。

少しは、人の背中を押せる自分になれているのではないか…。ふとそう感じ、神の教えを学べることを誇りに思いました。先輩に支えられていた、人生の「借り主」時代から、「貸し主」へ。人から必要とされる喜びは格別で、心底うれしい毎日です。

――「運命」をもって 世(社会)に奉仕する 信者を目指す――
 この思い深まるほどに 「心」は安定し 誠実に「生きる」人に成る
 環境を「正道」へと導き 多くの人の上に立つ存在感が ここにある
「運命」の力を知って 「運命」に導かれた心の動きが取れたとき
    生きがいあふれた「人生」が歩めるのである

――「運命」をもって
    世(社会)に奉仕する
          信者を目指す――
 この思い深まるほどに
    「心」は安定し
      誠実に「生きる」人に成る
 環境を「正道」へと導き
    多くの人の上に立つ存在感が
             ここにある
「運命」の力を知って
  「運命」に導かれた心の動きが
            取れたとき
    生きがいあふれた「人生」が
           歩めるのである

『真実の光・神示 平成26年版』105ページ(中略あり)