No. 119

親と向き合い、言えた「ありがとう」

(兵庫県SK/30代女性/アルバイト)

私の父と母は正反対の性格で、お互い不満ばかり。小さい頃から子供ながらに、両親の間をつなごうとしてきました。「なぜ、家族なのに仲良くできないんだろう」そんな疑問から、心理学を学び、親と暮らせない事情のある子供たちの心をケアする仕事に就きました。

しかし、先輩や同僚の中には、一生懸命に子供のことを考える人もいれば、「あの子はしようがない。放っておけばいい」と言う人もいます。「こんなにバラバラで、子供の心のケアなどできるはずない」と、職場への疑問や不満、そして何もできない自分への無力感でいっぱいになりました。家に帰っても、それぞれ違う方向を向いている両親の姿。何もかもがかみ合わず、仕事に行けなくなってしまったのです。

そのような状況の中で、教会に行くと、穏やかな仲間の姿に心が安らぎ、人との関わり方のヒントが得られました。気持ちが前向きになり、真剣に神の教えを学び始めたのです。

すると、周りの態度を気にし過ぎていたこと。人を責めてばかりいたこと。何より、親と向き合っていなかったことに気付き、自分のやっていくことが見えました。

仕事は辞めましたが、庭で花を育て、家族が居心地よく過ごせるように部屋に飾り、母の誕生日にはプレゼントしました。けんかはするけれど、両親のおかげで育ってこられたことに感謝を込めて、「生んで育ててくれてありがとう」と素直に伝えました。母はとても喜び、父も褒めてくれました。今は、花売り場でアルバイトをしています。自分が育てた花が、どこかで「かわいいね」と喜んでもらえることを楽しみにしながら働いています。