No. 848

神が下さった仕事に感謝
流れに乗って楽しく生きる
(福井県AC/70代男性/昆布職人)

職人人生64年。「現代の名工」として国から表彰していただき、技術の伝承に尽力しています。

半年ほど前、思いがけない出来事がありました。近所の青年が、突然仕事場に来て「弟子入りしたい」と言うのです。事情を聞くと、物作りの仕事がしたいそうで、「そうや、近所に現代の名工のおんちゃんがいる。頼みに行こう」と思い付いたらしいのです。面食らいつつ、試しに教えてみると、見よう見まねながら、器用な手さばき。数日後、ご両親が挨拶に来られ、正式にお預かりすることになったのです。

迷いのループから抜け出す

一人前になるには10年かかるこの世界。しかし、80歳近い私の年齢を考えると、指導できるのは3年ほどです。そもそも、今の子に私の厳しい教え方は合うのだろうか…。迷いのループから抜け出せず、勉強会へ。そこに答えがありました。「こうでなければ」「昔はこうだった」とこだわらず、相手に合わせて「今のやり方」を見つけていけばいい。それが、時代の流れに乗る生き方。心の霧がぱーっと晴れました。

もう迷いはありません。新弟子の良さは素直なところ。教えたら一生懸命取り組みます。「自分で考えろ」「できんのなら辞めてしまえ!」と突き放すかつての指導は封印し、丁寧に伝えるやり方に。「ハイ!」と元気な答えが返ってきて、弟子の良さがさらに際立つのです。

お客さまが帰るときは、私の後ろにくっついて見えなくなるまでお見送りし、集荷が来れば、私より先に荷物を運び出しています。教えたわけでもないのに…です。私が「今からこれを伝えよう」と思ったタイミングで、「ここはどうするんですか」と聞かれることも多く、その「間」がぴったりなのも驚きです。

てんぐだった35年前の自分

「日本でただ一人の技術を持つ自分が、何で神さんとこ行かなあかんのや」と、渋々勉強会に行っていた35年前。「自分が頑張っている」「自分がいるからみんなも仕事できる」。自分一色だった私の心に、神が「みんな」の存在を教えてくれました。弟子、問屋の方、私を仕込んでくれた今は亡き親…。「みんながいるから仕事ができる」。だから、出会いを大事に。弟子には惜しみなく伝える。神の教えで初めて知ったことがたくさんあります。

「できんくせに黙っとれ」とばんばんやり合っていた自分が今、全くもって人と対立しなくなりました。若い子の今時の感覚を見聞きするのも新鮮で、「新弟子と近所のおんちゃん」で、毎日楽しくやりとりしています。彼を一人前にするのも、神が与えてくださった仕事…と感謝する日々です。

奉仕に生きるほど
    「人生」は磨かれ 輝き 多くの人の心に「生きる」勇気と自信を与えてゆく
「仕事」――
    「運命」の力を引き出し
      世(社会)に奉仕する人が体験する 生きがいの心(姿)を申す

奉仕に生きるほど
  「人生」は磨かれ 輝き
    多くの人の心に
      「生きる」勇気と自信を
        与えてゆく
「仕事」――
  「運命」の力を引き出し
    世(社会)に奉仕する人が
        体験する
      生きがいの心(姿)を申す

『真実の光・神示 平成27年版』94ページ