No. 445

父が残してくれた宝
人生に一番大切なもの
(富山県AI/20代女性/大学事務職員)

夫婦げんかをしても、お互い「ごめんね」と言い合う両親は私の自慢。温かい家の中で、私は四人きょうだいの三番目として育ちました。結婚してからは、これまで親にかけてもらった愛を、夫や子供に注ぐ日々を過ごしていたのです。

一丸となった家族の心

二人目の子を身ごもり、間もなく予定日を迎えようとしていた昨年末のこと。父が倒れたと一報が入り、すぐに夫、息子と病院へ向かいました。脳幹出血で「助かる見込みはない」との言葉に動揺が収まらず、「少しでも長く生きてほしい…」と、神に願うばかり。そんな時、私たち家族の軸になったのは、神の教えでした。大切なのは、家族が心を一つにすること。お互いに励まし、支え合いながら、みんなで父に寄り添ったのです。

大好きな父の死に直面して

数日後、父は旅立ちました。穏やかな、まるで眠っているかのような顔に、魂が安心しきっていることが分かりました。これまで、何度も病を患い、命の峠を乗り越えてきた父。寿命の中で精いっぱい生き抜いた父の死を、寂しいながらも、家族全員が自然と受け入れていたのです。

折しも、北陸は記録的大雪で、「葬儀には行けないけど…」と、たくさんの方が弔問に駆け付けてくれました。父が亡くなった二日後、父の希望であった玉納奉寿(教会葬儀)を石川津幡偉光会館で行うことができました。慣れ親しんだ、我が家同然の神の館での葬儀は、計り知れないほどの安心感の中での儀式となりました。お世話になった方々に、父の最期を見送っていただけて、感謝でいっぱいでした。

受け継ぐ生き方は縁を大切に

振り返れば、家での父はいつも優しく、時に叱ることがあっても愛情たっぷり。いざというときは、矢面に立って家族を守ってくれる、どっしりとした父親でした。会社でも困っている人を放っておけず、真剣に話を聞いたり、業務時間外でも仕事を手伝ったりと、周りのために尽くしていたようです。そんな父を多くの方がしのんでくださる…。どれほど人との縁を大切に生きてきたかがうかがえて、何とも誇らしく思いました。父は満足できる悔いのない一生を送ったのだと、心から思えたのです。

程なくして、無事に次男が生まれました。孫の誕生を心待ちにしていた父の魂も、きっと喜んでいると思います。父が残してくれた宝物は、家族を大切にする生き方、縁を生かす生き方です。それをしっかりと受け継いで、父を知らない次男にも伝えられるような、温かい家庭を築いていきます。