No. 412

“自分には無理”からの変化
得たものは家族のぬくもり
(福岡県JS/50代女性/介護職)

こだわる心で家庭内に亀裂が

結婚して約30年。楽しいこともあった半面、さまざまなことがありました。特にここ数年は、大きな問題に直面した夫を、そばで精いっぱい支えてきました。そんな時、離婚歴のある夫が、私に黙って、先妻との子供に金銭援助をしていたことが発覚したのです。「ひと言、相談してくれていたら…」裏切られたような悲しみと憤りで口論となり、そのまま家庭内別居に陥りました。負の感情は、体をむしばみ、仕事に影響が出るほど、心の中に重くたまっていきます。どうしても許せない思いが拭えないまま、時間だけが過ぎていきました。

「つらいときほど神の元へ行くといいよ」という親戚の言葉に促され、神の館に足を運びました。御神前に入ると、なぜか涙があふれて止まりませんでした。苦しい思いを、ありのまま神に訴えると、心が晴れていくような感じがしたのです。その一方、「夫婦は、気持ちを素直に伝え合うことが大切」と学んでも、「私には無理」と受け入れられない自分がいました。

必死の努力に解けたわだかまり

「この苦しみから何とか脱したい」その一心で努力しました。「夫とのこんな関係を、続けたままでよいはずがない」と、焦る気持ちが出ては神に訴え、受け止めきれずとも神の教えを学び続けたのです。

1カ月、2カ月…、半年。時がたつにつれて、不思議と心の重荷が一つ一つ消え、気持ちが軽くなっていくのが分かりました。

長年連れ添った夫婦だからこそ、長所も短所も嫌というほど分かっているもの。相手に寄り添う心で一つ一つの出来事を見詰めてみると、見え方も変わります。あらためて考えてみたら、先妻との子への援助は、親としての責任感から。黙っていたのは、私への配慮からかもしれない。思えば、ささいな問題でした。そう感じるにつれ、体調が戻り、仕事にも前向きに取り組めるようになりました。いつの間にか、固くわだかまっていた気持ちが解けていき、夫に「おはよう」と挨拶できるようになっていたのです。それでもまだ生活を異にしていたある日、夜勤を終えて帰ると、いい香りが…。何と夫が「仕事が大変だろうから…」と、夕食を作ってくれていました。

自分が変わって手にした仕合せ

夫は元々優しい人だったのに、頑固な自分の心が、夫婦の間に溝をつくっていたと気付きました。このこだわりは、神のご守護なしには乗り越えられませんでした。

今は、二人で毎日食事を共にし、会話や買い物を楽しんでいます。そんな普通の生活が当たり前ではないと、感謝の思いでいっぱいです。結婚した子供たちも、うれしそうに遊びにきてくれて、家族のぬくもりを、ゆったりと味わっています。