No. 334

仕合せを呼ぶ気付きの連鎖
自分が変わり相手も変わる
(京都府HH/70代女性/パート)

思いがこもる言葉に心が通う

104歳の母は、明るく、話好きでしっかり者。私たち家族の自慢です。しかし、最近、認知症の症状が現れ始めたのです。ショートステイが決まっても、すぐに忘れて「行かない」「しんどい」と言うので困り果てていました。

「イライラしてはいけない」と分かっていてもどうにもならず、何度も教えを学び直しました。ある時、ふと「自分の思いを素直に伝えることが必要」と気付いたのです。今まで、思いを語らずに生きてきた私です。特に最近は、「すぐ忘れるから、言っても仕方ない」と、ほとんど話をしていませんでした。母の心を全く大切にしていなかったと、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。それからは、母を思う気持ちを言葉にして伝えました。「お母さん、こんな暑い時だから、涼しく、快適な場所で過ごしてほしいの。私たちも安心なのよ」と。

母は、とてもいい顔で「はい、そうするわ」と、すんなりと受け入れてくれました。施設にいることで、私たちの役に立っていると思ったようです。ちゃんと向き合って言葉にすれば、思いは伝わるもの。心と心を通い合わせる大切さを実感しました。

人を遠ざけていた先入観

ちょうど同じタイミングで、姉から電話がありました。そして、「母さんの世話をよくやってくれてありがとう。任せっぱなしで悪かったね」と言うのです。しっかり者の姉のこと、今までなら、何か注意されるのではと、警戒していたと思います。それが、今回は、ありがとうと素直に受け止めて話ができました。以来、姉とは、毎日のように電話で話しています。母の近況など、いろいろな会話が弾み、仕合せをかみしめる毎日です。

「認知症だから、言っても分からないだろう」とか、「また何か言われるのでは…」などと先入観にとらわれ、溝をつくっていたのは自分の心でした。自分が変われば、相手も変わる。自ら心の目を閉ざしていた私を変えてくれた教えは、「宝」です。これまでのことが全て流れ、爽やかな気持ちになれて、感謝でいっぱいです。