夫は、ジェントルマンで優しい半面、とても頑固。でも、私も自我が強いから、結婚してからずっと、“遠慮なし”の口げんかが当たり前。「お母さんは、ああ言えばこう言う」と言われても、これくらいのけんかはどの家庭にも普通にあることと、全く意に介しませんでした。
そんな中、仕事で多忙を極めていた夫が心の病を発症。その後、追い打ちを掛けるように、独り身の実兄がくも膜下出血で倒れたのです。しかし、とことん追い込まれたこのことが、自分を変える転機となりました。
心に響いた「夫婦」の大切さ
夫に代わって働きながら、兄のいる介護施設に通う日々。一人ではできないのに、夫婦の意見は食い違ってばかり。そんな中で言われた、「いくら話しても平行線。もう好きなようにして」という言葉。さすがに、これではいけないと思いました。
あらためて、神の教えを学ぶ中、「夫婦の和」の大切さが心に響きました。私は、「自分のきょうだいだから」と一人で躍起になって、夫の気持ちを軽んじていたのです。一番大切なのは、夫婦の心ががっちり重なっていることでした。そうしてようやく、「まずは夫の考えを受け止めよう」という気持ちになったのです。
夫の考えを受け止めてみたら…
どうしても素直になれないとき、また崖っぷちだと思ったとき、握り締めていたのが個人用御神体。祈願していると、我に返って、自分の姿が客観的に見えてきます。おかげで、「そうだね」と話を聞けることが増えました。考えが違っても、穏やかに、「こうしたらどうかしら」と伝えられます。時に、強い言葉が返ってきても、受け入れてもらえなくても、けんか腰にならずにいられるのです。「この軽さは何!?」とびっくりするくらい気持ちが楽で、「私ももう少し考えてみよう」などと心が前向きに。不思議と、物事も丸く収まっていくのです。
夫婦でしっかり向き合えるようになった頃、突然夫が言いました。「お義兄ちゃんのことは、二人で一緒に見ていこう」。何て愛情深い人なのでしょう。分かっていたつもりでも、頑固なところ、短気なところにしか目が向いていなかった自分を、心の底から反省しました。病に倒れた兄を支えるため、どれほど夫が思いを重ねてくれていたか…。胸がいっぱいになりました。
「夫婦の和」の力を感じる毎日
恥ずかしいけれど伝えるようになった、「一緒にいられてうれしい」「夫婦でいてくれてありがとう」。初めて言った時、夫の顔には、驚きの中にうれしさがにじんでいました。今では、「お父さんも、お母さんがいないと寂しい」と返してくれます。“言葉”でない、“心”のやりとりができるようになった手応え。夫の調子も驚くほど安定していて、「夫婦の和」が生み出す力を実感しています。今生限りのこの縁に感謝して、一日一日を大事に過ごしていきます。
家庭の和は
「人生」導く土台となるもの
ゆえに
「神の教え」軽んじることなく
我が家に生かす努力がほしい
家人一人一人が
教えに生きる悟りが大切
悟り心重なり合うほど
その家の運命実体
家人の心を導き守る
『真実の光・神示 平成19年版』14ページ