息子を心配しているつもりが…
県外の大学に進んだばかりの息子が、コロナの影響で自宅学習を余儀なくされ、我が家に戻ってきました。慣れないオンライン授業で、友達もつくれず、部屋に閉じこもりがちに…。私は、何と言葉を掛けたらよいのか、迷うばかりでした。
夫に相談してみると、「ずっと家にいるんだから、ストレスがたまるのも無理ないよ」と言われ、ハッとしました。家の中で息子の気持ちが安らぐような関わりができていたか、心を見詰め直したのです。
思えば、心配性の私は、必要以上に顔色をうかがい、機嫌が悪そうだと、無意識に避けていました。息子を気遣っているつもりが、自分から壁をつくり、居心地を悪くしていたのです。息子の言葉や態度にのまれず、母親として温かく寄り添っていこうと心に決めました。
逃げない心に光が差して
ある日、息子がイライラしていた時のことです。それまでなら、落ち着くまで距離を置いていたところですが、今回は違いました。話を聞いてみようと、息子の部屋に行ったのです。
初めは、早く部屋から出てほしそうな態度でした。しかし、次第に、勉強が難しくて、いっぱいいっぱいなこと、ゲームで発散しても、思いどおりにならないと、家族に当たってしまったことなどを話してくれました。「つらかったね」「大変だったんだね」と、受け止めていると、息子は徐々に落ち着き、「また頑張ってみるよ」と元気を取り戻した様子でした。
次の日、息子がパソコンを持って、うれしそうにリビングに来ました。そして、出来たての課題を「はい、これ!」と見せてくれたのです。聞けば、夫に教わりながら仕上げたとのこと。息子の気持ちがうれしくて、思わず「すごい! よく頑張ったね」と声を掛けました。
家族のことで悩んでも、向き合い方一つで、絆を深めるチャンスにできると思いました。何でも話し合える家庭を目指して、前進あるのみです。