No. 1785

仲間との語り合いから
後悔で終わらない人生を

(東京都SY/80代女性/主婦) 

働くことが好きな私は、結婚、出産後も、中学校の教師を続けていました。部活の顧問も受け持ち、帰宅の遅い日々。一方、同じく教師だった夫は、毎日お弁当を作り、夕食の準備まで。それでいて文句一つ言わない、本当に優しい人でした。ところが、当時の私は、「私も働いているんだから、当たり前でしょ」と上から目線。そうした心は、一人娘にも向けられました。教え子や近所の子供と比較しては、「何で、あなたにはできないの!?」と怒り、厳しく育ててきたのです。 

傲慢で、冷たい心に気付いて

そのゆがんだ心に気付けたのは、少し前、神の館で、仲間との語り合いに参加した時のことでした。周りから聞こえてくるのは、「うちの夫がね」「子供たちが…」と温かいまなざしで語る、家族への感謝の言葉。それに比べて私は、何て傲慢(ごうまん)で、冷たいのか…。夫を思いやる妻の心も、娘を優しく包み込む母の心も、欠けていたと気付いたのです。 

夫は、既にこの世を去っています。生きているうちに気付いて謝りたかった、感謝を伝えたかった…と、つくづく思った私。語り合いの後、安明殿で、夫の魂に、「あの時はごめんなさい。私、感謝が足りなかった。ありがとう」と、心からの思いを語り掛けました。すると、夫がそばにいて、聞いてくれているような感覚を味わったのです。故人にも、思いを届けることができるありがたさ。心の世界の不思議を感じたひとときでした。

娘との時間を大切に

その時もう一つ、決意した思いがあります。それは、縁を深められるのは、生きている間だけ。娘との掛け替えのない時間を、後悔で終わらないようにしよう…ということ。家に帰ってから、勇気を出して向き合いました。「今まで、本当にごめんね。お母さんに認めてもらえない…って、ずっとつらい思いをさせていたよね」。娘は何も言いませんでしたが、うなずきながら、笑顔を見せてくれたのです。 

その日から、私たちはようやく本物の親子になれた気がします。娘が、今まで全く作ることのなかった食事を毎日準備してくれます。「ありがとう。とてもおいしいよ」。人にしてもらって当然だった私が、感謝の気持ちを言葉にして、伝えられるようになったのです。娘を見る目も、確かに変わりました。私へのこまやかな気遣いや、困っている人を見掛けたら、ためらわずに手を差し伸べる姿…。娘の持つ優しさを再確認したのです。 

神からもう一度頂いたチャンス

「お母さん、味見してくれる?」。娘から声を掛けてもらい、二人で台所に立って、食事の支度。これまでなかった穏やかな時間を楽しんでいます。ある日、「ことしの父の日には、お父さんの所へ行こう」と、初めて娘から、夫が眠る偉光郷に誘ってくれたのです。当日は、親子水入らずでゆっくりと過ごし、神玉里で、肩を並べて静かに手を合わせました。「親子仲良く過ごしているから、安心してね」。心の中で、夫に語り掛けました。 

もし、この神を知らなければ、自分の過ちに気付いても、後悔することしかできなかったでしょう。それが、亡き夫に思いを届けられ、娘と縁を深め直せるなんて…。「神様から、もう一度チャンスを頂けた」と思えてなりません。大きなお守りに、深く感謝いたします。これからも、いつも見守ってくれている夫の存在を感じながら、娘と心を重ねて過ごしていく所存です。 

「心の道」に思いをつなぎ
    親から子へと「夢」を受け継ぐ
「心(魂)」安らぐ環境が「家」である
「家庭」の意味(真理)を
         よくよく悟りて
  家族それぞれ 思いを語る
           「家」を築けよ
 思いがつながるほどに その家は栄え
     先祖の心(魂)も安心 安泰

『真実の光・神示 平成23年版』14ページ