(茨城県HM/30代男性/農業)
人と関わるのが“怖い”。そう思うようになったのは、高校を卒業して働き始めてからでした。部品の製造工場に勤めた私は、ノルマや技術の向上に追われる毎日。要望に応えられない自分に自信をなくしたり、焦ったり…。先に進めなくなってしまいました。
渇いた心に染みた「無償の愛」
誰にも話せず、しばらくため込んでいたつらい思い。ふと、親に話してみよう…と心が動いたのは、「家族には何でも話す」と神の教えで学んでいたから。思い切って打ち明けたところ、両親は「今までよく頑張ったね」と、涙ぐみながら気持ちを受け止めてくれました。どこまでも私を思ってくれる“無償の愛”。成果ばかりを追い求め、渇いていた心に染みました。
素直、正直に関わってみると
自分に足りないものをつかみたい…と、真剣に臨んだ「友輝会」。人と「素直、正直に触れる」というヒントが、心に響きました。上司や先輩の言動に圧迫感を覚えて、一人で抱え込んでいた姿が見えたのです。「背伸びしないでいいんだ。できないことは、『教えてください』と素直に聞いていこう!」。人に対する怖さが取れ、自分の年齢や立場に合った関わり方がイメージできました。
実践してみると、怖かったはずの人たちが、ちゃんと指導してくれます。「教えていただいて、ありがとうございました」と繰り返していくうちに、良好な関係を築くことができたのです。後輩が入ってきてからは、自分の経験を踏まえて、温かく触れるように。やがて、みんなの声をまとめて、働きやすい環境を提案する、リーダー役に抜擢(ばってき)されました。
祖母の死去が不思議な転機に
それからしばらくして、小さい時から、かわいがってくれた祖母が亡くなりました。祖父亡き後、ずっと田畑を守っていた祖母。しかし、跡継ぎがいません。「これからどうするのか?」という話題が出た瞬間、「祖母の“思い”を受け継ぎたい」。強い気持ちが湧き上がってきたのです。
自分でも不思議な心の動き。源は、親からもらった無償の愛だと思います。掛け値なしの愛でつながる、家族の“思い”に関わる仕事をしたい! 両親に相談すると、「そうなったら本当にうれしい」と喜ばれました。会社の人たちも、「頑張れ!」と応援してくれて、私は大きな一歩を踏み出したのです。
人に役立つ充実した毎日
農業の「の」の字も知らない私。祖母の田畑はいったん人に見ていただき、自社農場を持つ会社に就職しました。一から教わる日々でしたが、人と関わることに臆する気持ちはありません。「教えてください!」と初めての作業に挑戦し、職場の仲間や、農家の方と積極的にコミュニケーションを取ることを意識。温かい関心を持って相手の話を聞いていると、さらに縁が深まり、仕事のやりとりもスムーズになりました。何より、役立てることが増えて、「ありがとう」が返ってくる。そのことに、この上ない喜びを感じるのです。
転職してから5年、そろそろ独り立ちの日も見えてきました。人間関係が怖いままでいたら、こんなに生きがいある毎日は味わえなかったはず。これからも多くの人と関わって、役に立つ人生を送っていきます。



家庭は 真実の愛を育み
「心の道」を太くつなぐ 魂の苗床
家族で「教え」を学ぶことで
人間の魂(こころ)は安定し
「真理」で関わり 支え合う
愛情(おもい)を強くする
この愛情(こころ)が
奉仕心を芽吹かせ
「運命」に守られ
「正道」をゆく人間を造る
(令和7年4月23日 『友輪』344号30ページ)


