No. 1648

人生は有限と心に刻んで
生き方を見詰めて得た奇跡

(横浜市MN/80代女性/主婦) 

料理が好きな私は、家族や近所の方々に、「またあの煮魚が食べたい」などと頼まれることがよくあります。声が掛かると、頭の中はフル回転。すぐに料理の手順を考え始めます。喜んでもらえるとうれしいし、できる範囲で気持ちよく応えているつもりでした。ところが…。ある時、夫や娘たちが言うのです。「私たちが頼むと、お母さんは、まず『え』って言うよね。それがもったいない」。「私、そんなこと言ってた!?」びっくりでした。 

家族との会話が絶好の機会に

手順を考えるうちに、自然とこぼれていた言葉。それが家族に「嫌」と聞こえていたのかも…。この会話は、自分を振り返る良い機会となりました。ちょうどその頃出席した勉強会。「人生は有限」という教えが強く響いたのです。私ももう80代。「人生」という限られた時間を大切に過ごしたい。そのために「心」を惜しみなく使って、もっと相手の「気持ち」を感じようと思いました。そうした気付きを真剣に祈願。いつの間にか、家族の頼みに、「分かった!」と応えることが増えて、自分でも不思議なほどでした。 

「気持ち」を感じていくと

「お母さん変わったね!」と言われるようになった頃、ふと、視力の低下が気になりました。かかりつけ医に相談すると、白内障の手術の話に。うれしいことではありません。でも、親身になってくれる医師の思いを感じて、「先生が言うのなら…」と心が動きました。紹介状を頂き、大きな病院へ。精密検査を受けて驚きました。左目に狭隅角(きょうぐうがく)が見つかって、「失明寸前」と言われたからです。最短の手術日を手配していただき、白内障と一緒に治療することになりました。 

診察から入退院まで、娘たちは「お母さんを一人にはできない」と、代わる代わる付いてきてくれました。仕事が多忙な長女は、何かと次女に「頼むね。ありがとう」と声を掛けていて、そのやりとりだけで胸がいっぱいに。1泊の入院中は、慣れない家事に夫が奮闘していたとも聞きました。家族の温かな支えを感じ、何の不安もなく手術に臨むことができたのです。 

全てが守られた感謝が

退院から2週間ほどたった現在、両目とも経過は順調です。驚いたことに、手術中、右目にも異常が見つかって、その処置がなかなか大変だったとのこと。どちらの目も、放っておいたらどうなっていたか…。家族の言葉に“心の姿勢”を正した一連の出来事は、全てがご守護だったと、神に感謝しかありません。 

「お母さん、お弁当お願い!」「分かった!」。戻ってきた日常の中で、今、あらためて思います。5人きょうだいの長女に生まれた私。子供の頃から台所に立つことも多く、考えてみれば、かれこれ70年近く、家族のために腕を振るってきました。いつの時も、「おいしい!」の笑顔が何よりの喜び。みんなの笑顔のために、幾つになっても「心」を磨いていきたいです。

常に環境を明るくし
    周りの人々の気持ちを大切に
              心を遣う
 「運命」に守られ 導かれた
        人の姿が ここにある
「運命」に重なる心は安定し
   人々に関わる気持ちを強くさせる
 家庭環境も 生活環境も
    全てがかみ合い 好転してゆく

(令和6年12月23日 『友輪』343号26ページ)