No. 1610

けがのおかげで
踏み出せた夫婦の一歩

(静岡県KI/70代女性/主婦) 

子供を授かった後に知った、夫の衝撃的な事実。幼い頃の高熱の後遺症から、思考力や決断力が欠けている。頭の中が真っ白になりました。 

夫に相談できないのなら、自分の力で何とかしよう…腹をくくりました。3人の子育てを頑張る私に、優しい言葉を掛け続けてくれた義母と義姉。それが励みとなって踏ん張り、夫は理容師として働いて、子供たちが成人した時は、ほっとしたものです。 

夫婦の関係が変わる出来事が

とはいえ、夫婦の間は…。夫に物を頼めば、「何で俺がやらんといかんだ」と怒り出して口げんかに。どうせ話してもうまくいかないし、「面倒くさいからいいや」。長いこと全くかみ合わなかった私たちの関係。それが、大きく変わる事態が起きたのです。 

不注意から右手首を骨折。すると夫は、文句一つ言わず、洗濯に炊事…、全ての家事をやり始めたのです。お箸を持って料理ができるのを待っていた夫が…です。着替えに手こずり、「ちょっと引っ張って」と頼むと、気持ちよく「はいよ」。思わず、言ったことのない「ありがとう」が出ました。靴下をはかせてくれた時は、こんなに優しい人だったなんて…と、胸がいっぱいになりました。 

反省と感謝の気持ちが湧いて

同時に、自分の姿が見えてきたのです。私の欠点は、人を見下げる心と短気。夫を“頼れない人”と決め付け、相談することも諦めて、一人で頑張り過ぎていたこと。夫を責めて、いらいらして、きちんと向き合おうとしなかったことを、大いに反省しました。こんな私でも、夫はずっと一緒にいてくれた…と感謝が湧いてきました。 

そんな頃、ぬか漬けが食べたいと言う夫。まだ手が使えないので、作り方を伝えました。分かりやすく丁寧に教えると、「これでどう?」と確認しながら、一生懸命やってくれました。翌朝、夫が畑で育てたきゅうりのぬか漬けを、二人でパクリ。「おいしいね」。笑顔で言葉を交わしながらの、楽しい楽しい時間でした。夫婦ってこんなにいいものなんだ、会話って大切なんだなと、しみじみ実感しました。 

夫に寄り添える妻になりたい

今まで夫をほったらかしにしていた私が、“夫に寄り添える妻になりたい”。そう願うようになったら、自然と行動も変わりました。込み入った話は理解できるまで何度も伝えたり、質問されたら分かるように話したり。短気な私がイラッとせず、苦にも感じない。紛れもなく、「神に心を守られている」と実感。夫ができないことは私がやればいいし、私にできないことは夫が支えてくれる。夫婦って、これでいいんだと分かったのです。

思えば、私がけがをして何もできなくなった時、夫は不慣れな家事を、食器を割りながらも一生懸命やってくれました。そんな人だから、幼い頃から「瞬間湯沸かし器」と言われてきた私も受け止めてもらえたのだと思います。子供たちといい関係が続いているのも、夫がいてくれたからです。夫とかみ合わない原因は、相手ではなく、私の性格にありました。 

夫婦としての一歩をようやく踏み出せた私たち。夫を信頼して支え合いながら、互いの絆をもっともっと深めていきたいです。

心迷わず 楽しき人生
      手にする極意は一つ
  ――神の教えを我が家に入れる――
 愛ある心が広がって
  家族それぞれ 心支えて
   和のある家(環境)を手にできる
 仕合せは 心安らぐ家築けるなれば
  家族それぞれ
   あるべき心(姿)が見えてきて
        言葉 態度で味わえる
 生きる楽しさ ここにあり

『真実の光・神示 平成18年版』67ページ