No. 1592

交渉がこじれた相手と
思いがつながったのは…

(山形県SA/50代男性/公務員) 

勤務先の移転を進める担当を任され、建設業者や住民との交渉などを重ね、順調に事が運んでいました。ところが突然、一人の住民から、「こんな話は聞いていない」との苦情が飛び込んできたのです。 

もやもやした心にストンと落ちて

聞けば、その人が所有権を持つ場所の整備が気に入らず、元通りにしてほしいとの要望。上司に報告したものの、どうしたらよいのか分かりません。「きちんと説明したのに、何でいまさら。それをすれば、スケジュールどおりに行かなくなってしまう」。心が一気に、もやもや状態に陥ってしまいました。 

この現実と向き合うには、何を軸にすればよいのか。それをつかみたくて偉光会館へ。すると、そこで会った地域の仲間が、同じような問題に直面して解決した体験があると言うのです。何という絶妙なタイミングでの出会いかと驚きました。その話からヒントを得て、教務相談も受けると、心に刺さるものが幾つも。「誠心誠意」「相手の思いを受け止める」「心がこもった対応」。一つ一つが神の教えとリンクして、心にストンと落ちた感覚でした。 

やるべきことが明確に

自分の心を振り返ってみると、さらに気付くことが。「説明したつもり」「この整備はやって当然」そうした思いが強かったから、相手にきちんと伝わらなかったのかも…。相手の思いをよく聞いて、もう一度丁寧に説明してみよう。相手との関わり方が明確に見えて、もやもやはすっかり解消。問題に対して、真っすぐに立ち向かう強い心がしっかりと持てたのです。 

数日後の話し合いの場には、各関連者のトップと出向き、住民側は町内会の副会長も同席。まずは自分たちが至らなかった点を謝罪したところ、苦情を言ってきた人が、その場所に対する思いを語り始めたのです。真剣に耳を傾けていく中で、共感できることも。気持ちを受け止めた上で、自分たちも、住民の方々が安心して、安全に暮らせるように考えている…。その思いとともに説明すると、何とすんなり理解してもらえ、和解に至ったのです。 

今回のことで見えたもの

勤務先と住民との橋渡しをすべき私が、もし相手を責め、自分たちの思いを優先していたら…。きっと、移転は白紙、訴訟といった大問題へと発展していたに違いない。そう考えるだけで、ぞっとします。自分の心に、“正しい軸”を据えていく大切さを思い知りました。土地一つにも、人それぞれの思い入れがあります。だから、どのようなときも、“相手の心を大事にしていこう”。この経験を通して、そんな信念が持てました。 

今回のことで、一人で心が詰まらなかったのは、家族のおかげ。家では、仕事の詳細は話せなくても、苦しい状況にあることを伝えたら、妻がアドバイスをくれたり、子供たちが応援してくれたり。温かい支えがあったから、前向きに臨めたのです。「うちの家族っていいな」と、あらためて感謝が湧きました。 

人の思いを感じられる自分に

移転先の建物は、来年完成。これまで関わった人をはじめ、新たな出会いもたくさんあるでしょう。どんな場面でも、人の思いにしっかりと耳を傾けて、感じていけたら、きっと良い出会いが広がるはず。人から必要とされ、求められる存在を、ますます目指したいと思います。

「教え」を学び
   「真理」に生きる思いを強く持つ
 この心が深まり 身に付くほどに
    人の心は 明るく 強くなれる
感謝の思いで
  人・物の存在を受け入れられる時
    人は皆 奉仕の心に生きている
 出会いはますます深まり
    互いの運命を重ね 補う
           関わりが持てる
自ら相手を受け入れ 関わる気持ちが
 働く意識を生み出し 成果につながる

『真実の光・神示 令和4年版』163ページ(中略あり)