No. 1589

突っ走らない自分に
大事なのは心の通い合い

(横浜市MA/50代女性/学校司書) 

“子供が大好き”な私が、学校司書、いわゆる小学校の図書室の先生となったのは、10年ほど前。授業の前後で本を紹介することもあり、子供たちと触れ合う毎日は、楽しく、やりがいに満ちていました。 

生き方の正道を知ったから

ただ気になるのは、複雑な家庭事情があって、養護施設から登校する児童のこと。家族の愛に触れた本を紹介すると、いら立ちや悲しみをあらわにする子が多く、ある時、こんな指示が出たのです。「家族愛がテーマの本の紹介は、極力避けてほしい」。本当にそれでいいの? 愛情を知る機会がなくなってしまうのでは…。心の中で葛藤がありました。 

「何かしてあげたい」。私がいつもつまずくのは、ここなのです。相手の気持ちを考えずに突っ走って、周りからねたまれ、心が傷ついてしまう。かといって、子供たちを思うと、じっとしていられません。以前と違ったのは、「自分の立場をわきまえて、先生方に思いを伝えてみよう」と謙虚になれたことです。「同じ繰り返しは、もうしない。大丈夫」そんな心境になれたのは、生き方の正道を知って、自分が客観的に見えたからだと思います。 

心から相手を思えた!

「このように思いますが、どうでしょう」言葉の裏には、“自分がこうしたい”という自我も、“あの考えが間違っている”という否定もなし。“子供たちのために…”この一心しかなかったのです。その熱意が伝わったのか、多くの方々が私の考えに賛同。親の愛や命の尊さなどの話を、積極的に取り上げていく動きとなりました。 

動物の親子の本を紹介した時は、親が赤ちゃんをかわいがり、危険が迫れば命懸けで守るように、みんなの親も同じだったはず…。命には限りがあることなども伝えました。すると、興味を示さなかった子が前のめりになって聞き始め、発言をしなかった子が思いを語るように。その変化に一番驚いたのは、担任の先生方です。「命の大切さを知ってから、学習意欲が向上した」とのうれしい報告まで。こうした成果が他の先生にも伝わって、「ぜひうちのクラスにも…」との依頼が増えていったのです。 

周りとの調和が良い結果を

愛について話すときは、教師の愛も添えたところ、児童との会話が自然と生まれたそうです。あるクラスで、「なぜ担任の先生は、みんなを叱ると思う?」と質問すると、「僕たちが好きだからでしょ」「みんなを良くしたいと思っているから」との答えが…。愛が伝わっている!と感動で胸がいっぱいでした。児童との関係に悩んでいた先生からも、教師としての誇りを取り戻せたと感謝され、感無量でした。 

私には、私の立場でできることがある。その中で、精いっぱいお役に立たせていただくことが、みんなのためになる。大事なのは、人との調和。心を通わせてこそ、良い結果につながるのだと実感できました。

一つ一つの縁を大事に

子供たちが成長したとき、「あの先生が、こんな本を紹介してくれたな」「こんなことを言っていたな」と思い出してもらえたなら…。そんなことを想像するだけで、ワクワクします。児童や先生、本…、どれも縁があって巡り合えた存在として、大事に関わっていきたいと思います。 

仕事――
 縁を生かし
  相手の仕合せ願って生きんとする
              心を申す
人の心を生かし
  物の命を大切にする心(人生)は
   神が与えし運命が導く
          「人生」に重なる
心豊かに
   奉仕に生きんとする者(人生)は
  人の心に
    「生きる」勇気と自信を与える

『真実の光・神示 平成18年版』248ページ(中略あり)