No. 1581

がんの疑いをきっかけに
夫婦で向き合う心が

(愛知県HS/70代女性/織物修整業) 

リウマチを10年以上患う私は、血液検査が欠かせません。これまで何の異常もなかったのに、初めて「貧血」との診断が。その数値を見た医師が、「どこからか出血があるはず」と察知し、胃カメラ検査をすると、はっきりとした黒い斑点が見つかったのです。「がんだと思います。細胞検査をして、今後のことを考えましょう」。思ってもみなかった状況に、一気に心が落ち込みました。 

自分に足りなかったもの

うろたえながら帰宅し、夫に報告。ところが、夫は平然としています。すぐさま偉光会館へ。「何か気付くことがあるのでは…」職員の言葉を聞いて、真っ先に浮かんだのは家族。「心の中に、悶々(もんもん)とした思いをためていませんか? 本心を伝えてみてはどうでしょう」との言葉に、ドキッとしました。 

思えば、家族とは、当たり障りのない話をして、“うちは会話ができている”。波風を立てないようにしているから、“調和している”。そう思い込んでいた私には、職員の言葉がガツンと響いたのです。 

一本気で頑固な面がある夫は、言われたとおりにしないと、話し掛けても答えてくれません。そうなるのが嫌で、何でも「はい」と受けていました。大ざっぱで、楽観的な性格の私は、物事を穏便に済ませておきたい。そうした心があったせいで、家族と向き合わずにきてしまったように思います。 

真っすぐに思いを伝えると

夫が私を叱ったある日のことです。「分かりました」という返事ではなく、「私なりのやり方がある」と言ったら、夫はのけ反るほどの驚きようでした。初めて夫に真っすぐに思いを伝えられた瞬間でした。以来、夫は私の話に耳を傾けてくれるようになり、「言いたいことがあるなら、話してみろ、聞いてやる」といった顔を見せてくれるのです。声を掛けると眉をひそめていたのが、優しいまなざしを向けてくれるようにもなりました。 

夫への愛情も深まって

そうして迎えた検査結果の日。「おかしいなあ、あったよね、黒い斑点。がんではないよ」。胃潰瘍との診断でした。早速夫に伝えると、心底ほっとした表情に。それを見て思いました。あの日、夫が平然としていたのは、「自分まで動揺してはいけない」と、私を思いやってくれていたから。不器用な優しさが心に染みて、何ともうれしかったです。 

夫が気持ちよく…ではなく、夫婦で向き合う。この感覚になれたら、夫を近くに感じるのです。「お父さんの喜ぶことをしたい」そう心から思います。友人との毎年恒例の旅行に出掛ける夫。ずっと、「自分だけ楽しんで」と不満があったのに、今回は「楽しんできて」と、不思議なほど気持ちよく送り出せました。 

人生の転機を生かしたい

たった一つの気付きが、こんなにも人生を変える転機になるとは…。夫に変な遠慮も、気遣いもなく、心にかぶさっていたものが取れて、晴れ晴れとした気分です。 

ようやく夫婦で向き合うことができた私たち。もっと思いを伝え合って、二人で仕合せをたくさん味わいたいです。子供たちとも、本音の会話ができるように、まずは夫婦から取り組みます。 

教えを我が「人生」に生かすほど
  人の心(気持ち)は明るく輝き
   和のある「家庭」が築かれてゆく
「真の健康」は
  気持ちが流れ
   出会いを楽しめる人が味わう
             「心の姿」
 心身ともに調和し
   我が「運命」が出会いを広げ
             深めてゆく

『真実の光・神示 平成23年版』28ページ