No. 1541

亡き母に届けられた安心感
疎遠だった兄との縁を深く

(長崎県KT/60代女性/事務) 

今夏、92歳の母を見送りました。私は、優しい母が大好きでした。兄と暮らす実家を訪れては、いろいろな話をしたものです。ただ一つ、母の生前から長いこと気掛かりだったのが、私たちきょうだいの関係でした。 

気後れしている場合じゃない!

いつからか「疎遠」になってしまった、私と兄。全く会話がなく、私にとって兄は、どこか話し掛けにくい、気後れする存在になっていたのです。 

そんな中、母が手足のしびれを訴え、よく転ぶように。医師の診断は、脊柱管狭窄(きょうさく)症。悪化を防ぐには手術が必要だけれど、どこまで効果が出るかは分からない。しかも、母は90代。手術は危険でお勧めできないとのこと。不安な気持ちで向かった偉光会館教務相談で確信したのは、「母は、兄にとっても大切な存在」ということでした。 

兄は、仕事であちこち飛び回っていながら、帰ってくれば、各地の様子を話して聞かせ、母が喜ぶ料理を作ってあげて。どれほど親思いか知れません。気後れなんてしている場合じゃない。ちゃんと話して、心を重ねていかなければ…と思いました。 

最後まで仕合せな時間を

あまりに異なる、私と兄の生活リズム。まずはそれを打開しようと、情報をノートに書いて共有することからスタート。「病院へ行く」「医師から、こう言われた」と何でもメモしました。違ったのは私の「心」。何をするにも一人ではなく、「お兄ちゃんと一緒に」の気持ちでした。精神世界は不思議です。やがて、兄も「きょう、病院で薬をもらってきた」「診断はこうだった」などと話してくれるようになったのです。 

病院のこと、手術のこと、気付いたら仕事のことまで。きょうだいで何でも話せる間柄になった頃、自然な流れの中で手術を受けることに。かつて医師が危険と言っていた手術を乗り越え、母は、周囲が「こんなにも」と驚く回復ぶりを見せてくれました。おかげで、一緒に参拝したり、出掛けたり。最後まで、数々の思い出をつくることができました。 

「家族仲良く」が最高の親孝行

今、母の笑顔がたくさん思い浮かびます。何よりうれしいのは、玉納奉寿(葬儀)で、「家族で仲良くやっていくから安心してください」と胸を張って伝えられたこと。私と兄が仲良く語らう姿に、母は安心して旅立てたはずと思うのです。 

「庭で取れたきゅうり、食べる?」「うん、食べたい」。きょうだいでたわいない会話ができることが、ありがたくて、ありがたくて…。兄とも、親族とも、もっと仲良く…。母の魂に、いっぱいの安心感を届けていきます。 

――仕合せの基は 和のある家庭――
家族それぞれが
  「神の教え」身に付け 生きるなら
 夫婦は支え合い
  親子は信じ合い
   兄弟姉妹は声掛け合って
     和心育ち 魂安らぐ家となる
「魂」安らぎ 「心」根付く家は
   「思い」受け継がれ 栄えてゆく

『真実の光・神示 平成17年版』81ページ