94歳の実母が、骨折をしてから体調を崩し、認知症もひどくなりました。入院しては施設に戻り、また入院。その後、母をみとるため、自宅か施設か、退院先を決めなくてはいけない状況になったのです。
私は、自宅で一緒に過ごして、みとってあげたいと思いました。しかし、それは自分だけの思いなので、まず家族と話し合うことが大切と、日頃学んでいた神の教えを思い出しました。
早速、夫と話をすると、体の弱い私を心配してくれました。「無理をしては駄目。見ていて無理そうだと思ったら声を掛けるから」という夫の言葉。母のことだけでなく、自分を案じてくれた夫に感謝でいっぱいになりました。
心の大切さをあらためて感じ
そして、自宅での介護が始まりました。「もう、みとるだけになるかも…」と心配していたのですが、母は元気を取り戻し、デイサービスに通えるようになったのです。
家族の愛の中で、生きる力が湧いてきたように思います。何に対しても「ありがとう」と感謝し、穏やかな母を見ていると、私まで心が穏やかになり、救われるようでした。介護というのは、自宅や施設などの形ではなく、関わる家族の心が大切とあらためて感じました。
穏やかに旅立ちの時を
やがて、母は自宅で穏やかに旅立っていきました。お互いに「ありがとう」と言い合えた後、本当に眠るようでした。寂しさはありますが、家族の心を重ねて母をみとれたことに、心から感謝しています。