No. 156

家族が一つになって救われた父の命

(東京都AF/50代女性/主婦)

ある日、弟から電話があり、父が敗血症で救急搬送されたと知りました。みんなで覚悟を決めましたが、数日後には意識が戻り、一般病棟に移れることに。とはいえ、話すこともままならない父を見ると、枕元で手を合わせて感謝を伝えるのが精いっぱいでした。

持病の前立腺がんと、肺への転移の可能性も考えると、退院の可能性は低い状況でした。母は必死に病院に通い続け、私も精いっぱい支えました。そんな中、治療で肺の周りのうみを出した途端に、父はどんどん回復。自力で立てるまでになったのです。

入院中、父の傍らには、いつも教会図書がありました。愚痴も、泣き言も言わず、問い掛けにはゆっくりでも的確に答え、周囲への感謝を欠かすことはありませんでした。そんな父に、医師やスタッフの方々が親身になって、丁寧に対応してくださいました。私たち家族にも、いろいろな話をしてくださり、ありがたかったです。

その後、父は無事に退院。要介護4と認定されたため、施設に…とも考えましたが、家にスロープや手すりを付ければ大丈夫と言われ、自宅に帰ることになりました。

妹によると、退院の日には多くの方が喜びつつも、寂しそうに見送ってくれたとのこと。あまりの回復ぶりに、「奇跡の人」と呼ばれていたそうです。

今、父は、自分のことは自分ででき、毎日散歩を楽しんでいます。がんもほとんど進行していないようで、日常生活に何の支障もありません。好きな時に教会図書で学べることが、何よりうれしいようです。母も、「家族が一つになって乗り越えたね」と喜んでいます。

皆さんに「こんな老後を送りたい」と言っていただける父は、私の誇りです。まだまだ親孝行できる機会があることがうれしいです。両親に安心して老後を過ごしてもらえるよう、娘として尽くしていきます。