No. 142

「ありがとう」を伝えていく人生に

(長崎県EH/80代女性/主婦)

数カ月前、列車に乗ろうとして転んでしまいました。自分では何ともなかったのですが、駅員さんに心配されて病院へ行ったところ、腕を骨折していました。さらに、医師に「平らな所で転ぶのはおかしい」と言われ、検査を受けると、脳に腫瘍が見つかったのです。幸い悪性ではなく、手術で取り除くことができ、今は一人で外出できるまでに回復しました。

私は7年前に夫を亡くし、一人暮らしです。自宅の美容室には、「あなたでなければ」と言って長年通い続けてくださる方々もいて、現役で働いていました。また、「人を喜ばせたい」という思いがあり、マジック協会に所属し、いろいろな場で披露して皆さんに喜んでいただいてきました。ですから、年を重ねても「私はまだまだしっかりしている」と思っていました。

しかし、今回の出来事が、生き方を見詰め直す大きなきっかけになりました。普段から息子夫婦が気に掛けてくれていましたが、頼ることなく、「大丈夫」と強がっていた私でした。

今は「お母さん、絶対に無理しないで」と気遣い、長生きを願ってくれる息子夫婦に、心からの感謝が湧き上がります。周りの方の気遣いにも、素直に「ありがとう」と言えるようになりました。

以前の私は、いろいろ活躍できることに感謝していました。でも最近は、安心感に包まれ、周りの人に感謝できる毎日がありがたく思います。心がわくわくして、何をしていても笑顔しか出てきません。これからの人生も、「ありがとう」を一人でも多くの方にお伝えできるように頑張ります。