No. 141

母の「心」をようやく感じ取れて

(岩手県CS/50代女性/ピアノ教室講師)

83歳の母が脳出血になってしまいました。暗くなっても家に帰らず、探しに行くと、畑で倒れていたのです。医師に、「回復は望めません。2割の方は亡くなります」と告げられ、「もっと早く発見できていたら…」と胸が張り裂けそうでした。

そんな私の不安を、夫が全て受け止め、支えてくれました。この時ほど、夫の存在の大きさと、教えを心の支えにできるありがたさを実感したことはありませんでした。

冷静な心を取り戻せた時に湧き上がってきたのは、母への感謝です。今までは、頑固で、家族の話に全く耳を貸さない母を心で責め、ぶつかっていました。私の子供にまでお説教ばかりするので、「一緒に暮らすのが苦しい」とさえ思いました。でも、なぜ孫に厳しかったのか。なぜ、家族が止めても畑仕事に精を出していたのか。母の言葉や態度の奥にある「心」を思った時、ようやく気付けたのです。「全て、家族を思う母の愛だった」と。

家族全員で母を支える中、医師が「ものすごい生命力の強さです」と驚くほど、母は奇跡的な回復を遂げています。先日、「早く探しに行けずにごめんね」と伝えると、「誰も悪くない。家族に心配を掛けてはいけなかった。ほどほどの頑張りが一番だ」と、優しい言葉と笑顔が返ってきました。

母の病気を通して、普段から教えで学んでいる「人生は有限だからこそ、悔いのない生き方を求めていかなければいけない」ことが心底つかめました。家族といつも「神の教えがあってよかったね」と語り合っています。これからも、一つ一つの出来事を教えで捉えて、生き方を深めていきます。