35年勤めてきた、製造工場での総務の仕事。「そろそろ退職」そんな気持ちで、後輩に仕事を引き継いでいたある日、上司から、「引き続き再雇用で、会社の寮の世話を頼みたい」と言われました。
ひるむことなく受け止めて
寮にいるのは40人ほどの男性社員で、ほとんどが若い人。狭い空間の中では、不平、不満が生まれやすいようで、日頃から何かと苦情を耳にしていました。でも、上司の「あなたにお願いしたい」の言葉に、期待に応えたい思いが湧き上がり、お引き受けしたのです。
行ってみるとうわさどおり、冷たい空気が流れていました。挨拶しても完全スルー。ゴミ捨て場は散乱。居心地の良い空間にできたらいいなあと思いました。私も、子を持つ母親です。「この子たちの親御さんは、さぞ心配しているだろう。私がこの寮でお母さんになろう」。私の中で「寮生」が「うちの子」に変わったのです。
「うちの子たち」と思いながら
私が心に据えてきた神の教えは、「愛心、愛語」。温かい心で関われるよう祈願しながら接していくと、その気持ちが相手に伝わるのでしょうか。最初は無視されていた挨拶が、ぼそぼそっと返ってくるようになりました。「おいしくな~れ!」と愛を込めて炊いたご飯のお釜は、あっという間に空っぽに…。「あなたが来てから、ご飯がおいしくなった」と、食堂に人がわいわい集まり、先輩、後輩入り交じって、楽しそうに会話するようになったのです。
その輪に私もちゃっかり加わっています。話をしてみると、それぞれ仕事の悩みを抱えている様子。「上司には言えない」と言う子もいるので、「じゃあ、私が話しておいてもいい?」と橋渡し役になることもあります。うつっぽくなっていた子が、少しずつ元気になり、「これからは、もっと自分の意見を伝えていきます!」と明るく言ってくれた時は、うれしくなりました。
向き合い方一つで変わる
いつの間にか、ゴミもきれいに分別され、不平、不満も聞かなくなりました。他の社員が、「あの子たち、やればできるじゃないか。向き合い方一つで、人ってこんなに変わるんだな」「寮に入ったら、温かい雰囲気が伝わってくる」と言ってくれたほど…。うちの子たちを褒めていただいたことが、最高に誇らしかったです。
「相談に乗ってください」と声を掛けられたり、「帰省したので…」とお土産をもらったり。心と心の交流が楽しく、かつての事務の仕事とはまた違った喜びを味わわせていただいています。先日は、後輩が「まだまだ現役でいてくださいね」と言ってくれて、ありがたく思いました。神の教えで学べるのは、「幾つになっても人から求められる生き方」と、心からそう思います。この寮の温かさを後輩に引き継げるように、これからも頑張ります。
「教え」を学ぶほど 「心(人生)」を磨く思いが 深まってゆく
愛心 愛語に「心」染め抜かれ 多くの出会いが生きる
「教え」を学び 「心」を磨くほど 人は皆 「生きる」喜びを味わえる
「教え」を学ぶほど
「心(人生)」を磨く思いが
深まってゆく
愛心 愛語に「心」染め抜かれ
多くの出会いが生きる
「教え」を学び 「心」を磨くほど
人は皆
「生きる」喜びを味わえる
『真実の光・神示 平成31年・令和元年版』37ページ(中略あり)