No. 32

悔いなく見送れた喜び

(鹿児島県MA/60代女性/主婦)

先日、夫が息を引き取りました。安らかな最期でした。

もともと私たち夫婦は会話が続かず、私自身、「言っても分かってもらえない」という気持ちで暮らしてきました。でも、夫が末期がんを患い、何度も神の館に足を運ぶ中で、「私は、自分の思いを分かってもらおうとするばかりで、妻としてどこまで夫の心を受け止めてきただろうか」と考えさせられたのです。「夫に何かしてあげられるのは、私しかいない」と思うと、支える気持ちが込み上げてきました。

病床の夫に寄り添い、温かく話し掛ける中で、日に日に表情が柔らかくなり、笑顔が見られるようになりました。時には私の体調を気遣ってくれ、どちらが病人か分からないほどでした。今までにない夫婦の温かいやりとりができ、掛け替えのない時間を過ごせたと思います。県外に住む子供たちは折に触れて顔を見せにきてくれ、医師もベストな治療ができるように手を尽くしてくれました。

教会葬儀で夫を見送った今、私の心は安心感に包まれています。神に心を守られていることに感謝でいっぱいです。