大の口下手で、人前で話すなどもっての外。そんな私が、自治会の区長に推薦されました。戸惑いましたが、長年、地域に住まわせていただいている感謝と、家族の後押しもあり、引き受けることに。とはいえ、リーダーシップのない私に何ができるのか…。途方に暮れてしまいました。
「全ての出会いに意味がある」教会では、いつも縁を大切にする生き方を学んでいます。教えをあらためて学び返して、気付きました。私に求められているのは、会合を上手に取り仕切ることではない…。みんなが住みやすい地域を、縁あって出会った皆さんと一緒につくること。そのために精いっぱいやろうと、道が開けた思いでした。
「聞き役」に徹してみると…
口下手でも、それを逆手に取れば、聞き上手になれるはず。まずは一人一人の考えを聞くことに徹しました。これまで慣例化していた事柄も、「今年も同じでいいだろう」と勝手に判断せず、議題に挙げて、意見を伺ってみたのです。
すると、出るわ出るわ…。驚くほどいろいろな意見がありました。そこで心掛けたのは、少数意見も大切にすることです。自分が良いなと思えば、「すてきなアイデアですね」などと伝え、皆さんが意見を出しやすい場づくりに努めたのです。
一見、場を乱すような発言も、よくよく聞くと「口調は強いけど、意見をまとめようとしてくれているんだな」と、言葉の裏にある思いを感じ取れます。意見が割れて、なかなか結論が出ないこともありましたが、いつも誰かが助け舟を出してくださり、全員が納得した上で一つ一つ決められたのです。後々もめ事になることもなく、全てがスムーズに進んでいきました。
全ての出会いが私の宝物
町内のイベントでは、急きょ変更が出て、役員の皆さんには、やむを得ず事後報告になることもありました。それでも、「あなたが決めたことなら大賛成」「託していますから」と言われ、信頼していただけたことがありがたかったです。
区長の任期も、3月で無事に終わろうとしています。多くの方とご縁を深めることができ、どの出会いも、私にとっては宝物です。もし、依頼された時に「無理」と即答していたら、この喜びは味わえなかったでしょう。口下手という「弱点」を、神の教えで「強み」に変えられたことに感謝しています。