No. 405

心から大切な存在と思えて
温かく聞こえる母の言葉
(熊本県HS/40代女性/販売員)

ずっと私と二人で暮らしてきた母が、年を重ねるにつれて、体の不調を訴えるようになりました。きょうは腰が痛い、きょうは体が重い…。毎日弱音を聞くのが、嫌で仕方ありませんでした。朝から夜遅くまで働く私の体調も万全ではなく、リーダーとして任されている店舗の売り上げも悪くて、ほそぼそと生活していました。

離れてみて見えたもの

そんな中、母が腰の手術を受けることになり、入院しました。コロナ禍で、面会にはたくさんの制限があり、離れてみて気付いたことがありました。

「親だから大事にしなきゃ」と頭では分かっていても、母の言葉を聞き流していた自分が見えたのです。そして、これからは母の気持ちを聞いて、向き合おうと決意。自分にできることを精いっぱいして、寂しい思いをさせないように、励ますことに努めました。「次はこの日に会いに行くよ」「きょうはこんなことがあってね」などと、たわいない話もたくさんメールする毎日でした。

半年の入院生活の中で、面会できた日はわずかでしたが、私が行くと母は目に見えて元気になるので、また次も喜ばせたいという思いが湧き上がりました。

退院後も、お互い前向きな心で

退院後、二人での生活が再開。リハビリが大変なのに、母の口から弱音が出ることが以前より減りました。時々ぶつぶつ言っていても、「きょうは痛いの? 大丈夫?」と温かく声を掛けている私がいます。

母の気持ちも、とても前向きになったように感じます。前は嫌がっていた階段も、今は「リハビリだから」と、私に荷物を預けて一歩一歩上がっていくのです。顔つきも、穏やかになりました。

幼い頃の読み聞かせのように

仕事で帰りが遅い私を、母は教会図書を読みながら待っていてくれます。そして、夕食を取る私のそばで音読してくれるのです。幼い頃、母が絵本を読み聞かせてくれたことを思い出し、とても心地よく、仕合せな気分になります。

私自身の気持ちが安定しているからか、仕事にも一層前向きに、元気に取り組めています。これまでもお店のためにと、精いっぱいやってきたつもりでしたが、今は清掃一つも心を込めています。そんな中で、うれしいことがありました。コロナ禍にもかかわらず、お店の売り上げが伸び、昇格させていただいたのです。お給料も少し上げていただいて、母と共にささやかなぜいたくを楽しむこともあります。

日常の忙しさにのまれて、ゆとりがなかった自分に気付けたのは、神の教えを学んでいたからです。こうして、母と温かく会話ができ、仕事にもやりがいを感じる日々に感謝しています。