No. 395

本当に欲しかったものは
穏やかで温かい我が家に
(長野県SK/30代女性/図書館勤務)

素直になれない自分の心

20代までの私は、家が嫌でたまらず、飛び出したこともありました。なぜなら、家の中でけんかが絶えず、家族が互いに責め合うばかりだったからです。

「声優になりたい」という夢も、母は「遠くへ行ってしまったら寂しいから」と賛成してくれません。応援が得られないことを、とても寂しく感じました。「自分の居場所が欲しい…」ずっとそう思っていたのです。なのに、行動は気持ちと裏腹で、家族の思いを突っぱねてばかりでした。

家を嫌って出ていったものの、DVを経験するなど、つらい出来事もありました。余りのつらさに、何度神の館に足を運んだか知れません。

家族との関わりに変化が

神の教えの必要性を感じた私は、15歳から30歳までの年代に必要な内容がつかめる「友輝会」で学び始めました。驚いたことに、学ぶほど、自分でも気付かないうちに固くなっていた心が、丸く、柔らかく変わっていくのが分かるのです。「家族と仲良くしたい」神に本心を素直に語れるようになると、さらにいろいろなことに気付けました。

「父は、必要なことを言ってくれていた…」「母は、私に強い態度を取られて怖かっただけだったのかも…」と。申し訳ない思いがあふれ、少しずつ家族と心の距離が近くなっていきました。

先日、歌のオーディションに合格し、声の質や表現力を褒めていただいたのは、本当にうれしい出来事でした。しかし、事務所に所属するためにお金がかかると聞いて、まず母に相談。母は親身になって話に耳を傾けてくれ、借金を抱えると大変になること、でも夢は応援したいと思っていることを話してくれました。

そして、よく考えた結果、「今の自分の環境で、声優という夢に向かって、無理なくできることをしようと思う」と、母にも話せたのです。まさか母と、本音でこんな話ができる日が来るなんて、思いもしませんでした。

今になって、当時の家族それぞれの気持ちが痛いほど分かります。時間もかかったし、つらい思いもしたけれど、それがあったからこそ見えてくるものがありました。本当に大切なものは、外ではなく、我が家にあったのです。心が通い合う家族の存在は宝。今、私の胸には感謝の思いがあふれています。「父も、母も、妹も大好き!」と、心の底から思っています。