企業の要職に就いていた夫は、家でもいつもピリピリしていました。その時の機嫌によって態度が大きく変わり、私は夫の顔色ばかりうかがう毎日でした。夫の言葉に傷つくのが怖くて、言いたいことも言えないでいました。
「叱られないように」から脱却
そんな私が変われたのは、神の教えから自分の弱点を知り、修正できたからです。学ぶほどに、思いの強さが悩みを生んでいたと気付きました。私は、「傷つきたくない」と心を閉ざし、言葉の奥にある、夫の心を見ようとしていなかったのです。
思えば、人間関係を良くするコツは、「会話を通して心のキャッチボールをすること」と学んでいたのに、自分はボールを投げ返していませんでした。「本音で語れる夫婦関係を築きたい」と思い、「叱られないように頑張る」のではなく、「心を重ねる」ことを目標にしました。
ちょっとしたことでも、夫がしてくれたことには、「ありがとう。うれしかった」と折に触れて伝えました。納得できないことは、「なぜ厳しく言うのだろう」「今どんな気持ちなのだろう」と、夫の本心を感じ取ることを心掛けました。その上で、「私はこう思うのだけれど」と、自分の言いたいことを伝えるようにしたのです。次第に、夫も私の思いを受け止めてくれるようになっていきました。表情も言葉も柔らかくなり、お互いの本音が伝わることが多くなりました。
愛のキャッチボールを重ねて
今、夫婦で過ごす時間がとても仕合せです。定年退職を迎えた夫は、毎晩、家族のために夕食を作ってくれます。研究熱心で、煮物、豆腐コロッケ、ドライカレー…と腕を振るい、味付けも工夫されています。「お母さん、味見して」と、夫にスプーンを差し出され、「あーん」と口を開ける私を見て、孫が「僕も!」と駆け寄ってきます。
夫の態度にビクビクしていた生活がうそのようです。人生の総仕上げの年代を迎え、こんなにも変わった自分に感謝でいっぱいになります。
これからも、子や孫が、まねをしてくれるような仲むつまじい夫婦を目指していきます。神の教えを心の支えに、愛のキャッチボールを重ねて…。