No. 284

コロナ禍からつかんだ
温かい心で寄り添う大切さ
(神奈川県HT/50代女性/看護師)

募る危機感と安心感

私は、看護師として病院に勤務しています。新型コロナウイルスの感染が広がっている今、熱のある方が来られたりすると、スタッフの緊張感は高まります。感染症の専用電話はパンク状態なのでしょう。「かけてもつながらないからここに来た」と突然来院する方も多く、現場は混乱状態に。

どんなに「患者さんのために最善の医療を!」と思っても、医師も看護師も人間です。不安や恐怖と戦いながら、医療に従事しています。そんな中では、事有るごとに揺れる思いを神に語り、心を安定させることが欠かせません。

みんなが一瞬、ちゅうちょするようなことも、「大丈夫! やっておくから」と、気持ちよく動こうと心掛けています。看護師としてやるべきことに率先して取り組めるのは、神に心の動きをお守りいただいているからこそ。これほどの安心感はないと感じます。

一人一人に丁寧に触れて

元気な人まで、小さなことが不安材料になって突然来院するため、次々と対応に追われる繰り返しです。

ある女性は、「この薬を飲んでいると、感染リスクが高まると聞いたから、取り換えてもらえないかしら」「それから、この前の検査の結果なんだけど…」と、不安でいっぱいの様子でした。いろいろな情報や知識にのまれ、人の言葉に振り回されて、心配が尽きなくなってしまったようです。

仲間からは、「いちいち聞いてたら、身が持たないわよ」と言われましたが、もし、教えを学んでいなかったら、私だって心配で仕方なかったはずです。少しでも楽になってほしくて、話を最後まで聞き、一つ一つ一緒に確認しました。すると、「よかった、本当に安心した」「元気でいなくちゃね、ありがとう」と、笑顔で帰っていかれたのです。

縁を生かす心遣い

教えで触れていくと、役に立てた喜びとともに、笑顔を交わした相手が他人ではなく、大切な人と思えてきます。自分の心遣い一つが、出会いを生かすことにも、逃すことにもつながるのだと気付きました。

「きょうもいい日だった」と思えるように、一つ一つの縁を大切に、看護師として多くの人の役に立っていきたいです。