No. 1815

息子がギャンブル依存に…
立ち直った陰に家族の愛が

(愛媛県HS/60代女性/寮監) 

12年前、三男のギャンブル依存による借金が発覚しました。夫を亡くし、仕事に専念してきた私は、子供たちに向き合ってこなかった責任を感じ、何年も借金を肩代わり。それなのに、転職を繰り返し、うそを重ね、「強盗に入るしかない」などと言う息子。何とか正しい道へ進んでほしいと、その都度、話をしても、「どうせ、生きとったって…」と開き直ります。「あんたと一緒に死ぬしかない!」と言った私に、「殺してくれ」と胸をはだけたことも。いつ犯罪に…、いつ自ら命を…、このままでは、長男や次男に迷惑を掛けてしまう…。ギリギリの所にいる息子を、食い止めたいと必死でした。 

そんなある日、上の息子たちが言ってくれました。「俺らはとっくに覚悟できてるよ。母さんには、いつも生き生きしていてほしいんだ。それが、俺らの元気のもとだから…」と。そのひと言で、「思い悩んでばかりいないで、何があっても三男を受け止めよう」と腹をくくったのです。借金の肩代わりもやめました。その後、三男は県外へ。音信不通になりました。 

心の底から伝えた「生きて!」

2年ほどしたある日、突然電話が。「どこにいる?」「今、池袋。俺が死んだら、おかんに連絡が行くように、メモ持っとるけん」。極寒の中で、宿無しの生活をしていたのです。祈願しながら一心不乱に伝えたのは、「頑張って生きるんよ!」。しかし同時に、「これはチャンス!」と思いました。心細くなれば頼ってくるのだから、どうにかなる! 「自殺はしない。犯罪にも走らない」。根拠のない希望が芽生え、神の守りを感じずにはいられませんでした。 

兄たちの誘いに三男の心が変化

数カ月が過ぎた頃、私が経営していた事務所の閉所に当たり、長男と次男の家族が、慰労会を開いてくれました。その時、ジュースを運んできたウエーターは、何と三男。池袋からの連絡の後、上の子二人が、三男に懸命に心を掛け続けてくれていたのです。息子たちからのサプライズに、腰を抜かすほど驚きました。三男は、兄たちに“家族”と思ってもらえていることに、安心した様子でした。その後も、「就職するなら…」「今度、釣りでも…」などと、交流を図り続けてくれた長男と次男。三男は、「こんなに楽しい時が来るなんて思わんかった」と、徐々に心の安定を取り戻していったのです。 

正論を振りかざす自分を反省

一方、私は、三男との間に、どこか距離を感じていました。それは、どうしてなのか。気付きたくて、折に触れて、神の教えを学びました。「自分は絶対正しいという思い込み」「相手を受け入れるゆとりのなさ」…、学ぶたびに心に留まります。「妥協せよ。妥協に進めよ」と学んだ時は、「相手の気持ちを考えることなく、自分の意見を押し付け、思いどおりにしようとしていた…」「正論を振りかざす悪い癖がある」と、自分の姿に気付いたのです。心のバリアーを取るには、これを改善しないと…。そうしなければ何も変わらない。そう思った私は、「長い間、傷つけてきたと反省してる。ごめんね」と、心から謝ったのです。 

それを機に、息子は心を開いてくれました。「集中豪雨だ」「近くで詐欺事件が多発している」となろうものなら、「気を付けて!」とメールまで。私自身、会話する際は、「そうなん? そうなん?」と、話をゆっくり聞こうと心掛けています。祈願しながら向き合っていくうちに思ったのは、一番苦しかったのは息子自身ということ。我が子を変えたいという執着がきれいに取れて、ありのままを受け止められました。そうして、ようやく親子の心が通い合うようになった今が、一番仕合せ。神のご守護による奇跡を実感しています。 

今、三男は、周りの方々の支えのお陰で、もう2年も自活できています。最近、「何年もひきこもっていた近所の青年を助けたよ」と連絡が。優しく声を掛けながら、玄関の外まで導いたと言うのです。「役に立ちたいんだ」という言葉に、苦しかった経験は決して無駄になっていないと確信。神の教えを学べたからこそ、家族がいてくれるからこその喜びを、身いっぱい味わわせていただいています。この体験を、多くの人に伝えていきたいです。

――人は皆 神の手の中
   「真の幸福」手にするために
      この世に生まれている――
「人生の真実」を知って
    「真理」に生きる我を目指せよ
ただただ神の教えを学び
 「教え」を通して
    我が「心」を見詰めるのである
自然と我が「心の動き」安定し
  全ての出会いを「悟り」と返す
              我となる
我が「家」の会話が深まり 広がり
  我が「家族」の心がつながってゆく

(平成22年1月19日〈中略あり〉)