2年ほど前に無事定年を迎えた夫でしたが、物忘れが始まり、夜昼なく近所を徘徊するようになってしまいました。認知症と診断され、入院か、施設への入所か、思い悩む毎日でした。
妻としての自分の心を反省
解決の糸口を見つけたくて、真剣に勉強会に臨むと、毎月学んでいたことが全く自分のものになっていなかったことに気付きました。おとなしい夫に言いたい放題、感謝の気持ちなどほとんどない私の心が、夫を不安定にさせていたことが見えてきたのです。
それからは、返事がなくても、優しい言葉、温かい心遣いを心掛けました。夜中に家の中を歩き回る夫に、以前なら、「いいかげんにして!」と怒鳴っていた私。それが、「いかんいかん」と思い返し、「大丈夫だから、もう寝よう」と、優しく言えるようになったのです。
「仕合せだなー」と感じる毎日
すると、夫は徐々に落ち着きを取り戻し、今では普通に会話ができるまでになりました。近所を徘徊することもなくなり、食事のときには、ご飯をよそってくれることも。そんなとき、「仕合せだなー」と感じます。夫の顔つきも穏やかになり、ささいなことを仕合せと感じる自分の心の変化にも驚いています。
同居する母親の笑顔も増え、楽しそうに家事を引き受けてくれます。嫁いだ娘たちも、顔を見せてくれることが多くなりました。今、本当に心が通い合う夫婦のスタートが切れたと、感謝で受け止めています。