No. 1727

傷つけられた親との確執
大笑いし合える関係に

(佐賀県AS/60代女性/無職) 

農家の長女として生まれた私。下には妹しかなく、両親には、婿を取るように、きつく言われていました。口を開けば結婚をせかされ、それが嫌でたまらず、反抗してしまう…。気付いたら、家の中には会話がなくなり、冷たい空気が流れていました。一緒にいる時、「娘さん?」と尋ねられると、「違う」と答える母。父が亡くなったのも「あなたのせい」と…。自分の存在が人を苦しめているのなら、私なんていない方がいい…。自己否定感から、すっかり自信を失いました。親への反発心もあり、結局、結婚はしませんでした。 

母につい声を荒らげてしまい…

父、祖母…と見送り、今は母と二人暮らしです。年を重ねるほど、少しは会話も生まれてきたものの、「母の介護はできない」、それが正直な気持ちでした。そんな中、母が認知症と診断されたのです。病気と分かっていても受け止め難い出来事の連続に、ゆとりを欠く日々。つらそうな母に寄り添ってあげたいのに、つい「何度も言ってるじゃない!」と声を荒らげてしまう…。母から、「叱られる!」「怖かー」と言われたこともあります。このままじゃいけない。変わりたい…。強く思いました。 

「奉仕心」で関わっていくと…

取り組んだのは、教会図書を二人で読むこと。母も、「良かことば、書いてあるね」とうれしそうにしています。親子で楽しく過ごす時間が増えました。さらに読み進めていくうちに、人の心を大切にする、「奉仕心」で関わる重要性にハッとしたのです。物を忘れ、分からないことが増え、母がどれだけつらい思いをしているか…。その気持ちを少しでも理解し、寄り添いたい…という心が膨らんでいきました。会話するときも、「お母さんに分かりやすいように、ゆっくり話そう」「考えをちゃんと聞こう」。上から目線になってはいけないと、肝に銘じながら関わっていきました。 

いつしか、母がよく笑うようになっていました。それも、声を上げて笑うのです。「そがん、おかしかった?」と尋ねると、またケラケラ。私まで楽しくなって、最後は二人で大笑い。親子で、おなかの底から笑い合える日がくるなんて…。どんどん心が軽くなっていきました。しかも、ずっと抱え続けていた、親への嫌な感情もほとんどなくなり、沈んでいた私の気持ちは救われました。結婚問題では、私も我が強かった…と反省心も持てたのです。 

穏やかな気持ちで向き合えて

母の症状は、少しずつ進んでいます。でも、この家で、母との生活を続けていきたい。いつまでも、そばにいたい。以前には考えられないほど穏やかな気持ちで、母と向き合っている自分がいます。 

父も母も、我が子を愛していたはずなのに、心が擦れ違ってしまった悲しい現実。もう二度と傷つけ合いたくありません。母が生きている今しかできない、温かな関わり。優しく接して、「魂が安らぐ家庭」をつくりたいと思います。そして、ますます笑い合える毎日を過ごしていきたいと願っています。

「信者の道」を歩むところに
 人は誰も和心芽吹き始めて
  「仕合せ」引き出す家を手にできる
 神の教え「真理」を学び深めるほどに
  「道の真理」が
       我が家の心を明るくする
 親子は寄り添い 思いをつなぐ
 時(時代)流れ 世代を超えて
  我が家の姿(人生)
      心の道に受け継がれてゆく

『真実の光・神示 平成21年版』108ページ(中略あり)