（新潟県ＹＳ／50代女性／団体職員）
父にステージⅣのがんが見つかったのは、会社を譲渡し、１年間役員として務めを果たし終えた頃。ゆったり過ごそうとしていた矢先のことでした。医師から勧められた治療は、手術、抗がん剤治療、放射線。しかし、父はその全てを拒否。希望を託した先は、民間療法といわれるものでした。
親との縁が薄かった私たち
本人が選んだのだから、応援しようと心に決めて、父が元気になるような言葉を掛けていきました。それから３年ほどは安定していたものの、ある時腫瘍マーカーが急上昇。医師から「これが最後の通告」と、ホルモン治療を提案されました。家族には、「心配するな」と父。本当は不安だろうに、心配を掛けまいとする姿に、それまでとは違う感情が湧き上がったのです。
娘の立場で、父のためにできることは…。大きく膨らんだ、父を思う心。考えてみると、父は、早くに父親を亡くし、家族との縁が希薄。結婚してからも多忙で、夫婦の間にも、会話らしい会話はなかったかもしれません。一人娘の私には何でも自由にさせてくれる、そんな優しい父が大好きでした。でも、親の愛をもらうばかりで感謝も伝えず、私自身、親との関わりを深めようとしていなかったのです。
支えたい気持ちが膨らんだら…
父のおかげで自分がいる。今こそ、父を支えたい。そう思い、好きな物を買って帰ったり、昔話に耳を傾けたり。「お父さんとお母さんが世界中で一番大切」と伝えることもできました。
あれほどかたくなだった父の心が、治療を受ける気持ちに変化。不安げな父を、「家族が付いているから大丈夫だよ」と抱き締めると、「ありがとう」と笑顔で治療に臨めたのです。心配していた副作用もなく、何と200を超えていた腫瘍マーカーが0.07に。さらに、脳と骨に転移していたがんが、ほぼ消えてしまったのです。「こんな人は見たことがない」と、医師も驚いていました。“家族”の力の大きさを実感。寄り添い続けてくれた医師にも、感謝以外ありません。
家族の絆が深く、強く
両親と一緒に神の教えを学び、父の心に重なれるように明るく声を掛け、寄り添い続けてきた今日まで。いつしか、共に過ごせる“今”への感謝が膨らみ、もっと愛をかけたい気持ちが深まっています。
父は、祖父の２倍以上の年を重ね、83歳になりました。ゴルフや詩吟、太極拳…と趣味を楽しみ、元気いっぱい。始めたばかりの料理も母に褒められ、得意満面です。こうして生きていてくれるおかげで、父にはできなかった“親と心を通わす時間”を、私はたくさん頂けている…。ありがたくてなりません。
両親も、冗談を言い合い、「ありがとう」が増えた我が家。朝は、「きょうもよろしく」と夫婦でハグ。夕食後は、父が母の肩をもむのが日課。これまでの姿からは考えられない仲むつまじい様子に、安心感といとおしさが込み上げます。
ある日、父が言いました。「家族が一番大事」と。本当にそのとおりです。だからこそ、家族と関われる“今”を大切にしたい…。父母の思いをもっと知り、心を通い合わせて、ますます「和のある家庭」を築いていきます。
｢教え」に生きる人間（ひと）は必ず
奉仕に生きて 家族を守る心が芽吹く
家族を守るために
ますます 気持ちは家族を気遣い
家族の心に寄り添う
自然と 愛情が家族の心を一つにまとめ
家族のために
「生きる」人間（ひと）と成ってゆく
この愛情こそが 「真実の愛」
「真理」に生きて
人間（ひと）の心は「正道」をゆく
