(愛知県KH/70代女性/無職)
ずっと抱えてきた娘に対する負い目。50年前、夫とうまくいかずに心を病んでいたとはいえ、3歳の娘を置いて離婚したのですから…。幸い、親子の縁をつないでくることはできましたが、心はどこまでつながっていたのか…。考えさせられたのは、亡くなった実母の納骨に向けて動き始めた時でした。
自分で勝手に思い込んでいた!
遺骨を納めるのは、神奈川県湯河原町にある偉光郷。「愛知から、一人でどうやって遺骨を運ぼう」「誰にも迷惑を掛けないように」。必死に考えていた私に、職員が声を掛けてくれました。「一人で抱え込まないで、娘さんたちにも応援を求めては…。きっと縁が深まるから」と。その言葉にハッとしました。娘夫婦は忙しい。体の弱い娘の手を煩わせてはいけない。それらが自分の思い込みだったと気付いたのです。
「娘はこう考えているはず」。日頃の会話でも、少し話を聞いて、分かった気になっていたけれど…。心の奥の気持ちまで聞いてやれていただろうか…と思いました。
心の奥をちゃんと知りたくて…
そんな中、ふと娘の様子が気になりました。尋ねてみると、「生活が大変で」。普段なら、会話はここでおしまい。でも、心の奥が知りたくて、祈願しながら、「思いを聞かせて」と伝えたのです。真剣な私の姿に、娘はようやく経済的な問題で行き詰まっていると打ち明けてくれました。「少しだけど援助するし、できることがあれば支えるから。皆で頑張っていこうね」という私の言葉に、娘はホッとした様子でした。
気持ちを言葉にする努力を
「おばあちゃんが亡くなって、お母さんも大変だろうから」「頼ったらいけないかなって」と娘。確かめもせずに思い込んで、遠慮して…。元夫に育てられ、私とは似ていないと思っていたのに、実はそっくり。「どんなに家族を思っていても、それを言葉に表し、気持ちを伝え合わなければ、本心は分かりません」という教会図書の一節が、深く心に響きました。もっと理解し合えるように、会話を怠らないで、何でも話そう。あらためて実践を決意したのです。
それからは、「ごめんね。寂しい思いをさせて…」「あなたは私の大事な子」「愛しているよ」と折に触れて伝えていきました。すると、少しずつ心が通い合う手応えが。いつしか、娘が「お母さんに何かあると心配だから、もっとおばあちゃんになったら一緒に住もうね」と言ってくれるようになりました。「困ったときにいつも心を支えてくれるお母さん」「本当に感謝しています」と言う言葉まで。50年たって、ようやく親子の心がつながったと感じます。
「仕合せな家庭」を子に孫に
納骨のことも伝えたところ、娘婿から「同じ新幹線で行きましょう」とお誘いが。以前は、当然のように現地集合だったのに。優しい心遣いが本当にうれしかったです。偉光郷で、両親をはじめ、先祖の魂に、「娘たちと心が通い合い、今はこんなに仕合せです」と報告できた時には、胸がいっぱいになりました。
孫のためにも、ますます温かいやりとりのできる親子になりたい…。そして、「仕合せな家庭」を受け継いでいけるように、家族の縁を深めてまいります。
神の教えは
皆の心(人生)を
悔いなきものへ導く宝(知恵)
心素直に「教え」を学び
心(人生)に据えて
家族 縁者に触れること
出会いを深め 互いの思いは重なり
会話が深まる
「仕合せ」手にする家庭の姿が
ここにある
『真実の光・神示 平成29年版』153ページ