No. 1585

気持ちを伝えて味わった
父母と心が通い合う喜び

(静岡県MS/30代女性) 

「お利口さん」。幼い頃からの私の代名詞です。わがままを言ったり、物をねだったりしない、聞き分けの良い子。妹が生まれ、「お姉ちゃんなんだから」と言われ始めてから、さらに拍車が掛かりました。 

30年近く、思いをため続けて

でも、本当は我慢もありました。痛切に感じたのは高校入学時。「吹奏楽部に入りたい」と言ったら、頭ごなしに反対されたのです。楽器を準備するためのお金が理由だったと知ったのは、ずっと後。当時は一人で悶々(もんもん)とし、「話したって、どうせ分かってくれない」と、投げやりな気持ちを膨らませていきました。 

その後、大学、大学院と進み、地元の企業に就職。しかし、親の望む仕事ではなく、「こんな会社…」と言われた時に、ため込んでいた感情が爆発。といっても、思いをぶつけたわけではありません。相変わらず親には何も言えないまま、心の中で「何で勝手に決め付けるの?」とぐるぐる。仕事に打ち込み、家にいる時間を減らして…と、心はどんどん家庭から離れていきました。 

ようやく言えた、つらい心の内

数年後、他にやりたいことが見つかったものの、会社からは引き留められて、悩んだ私。その時に受けた教務相談をきっかけに、ようやく自分の本心を親に伝えてみようと思ったのです。「家族には何でも話すこと」。神の教えには、親子の心を重ねる大切さが何度も出てきます。でも、いまさら何を話せばいいのか…。祈願して祈願してやっと言えた「話があるから聞いてほしいんだけど」。両親は、しっかり向き合い、真剣に聞いてくれました。だから、転職のことだけでなく、これまで抱えてきた気持ちも伝えたのです。 

親の言いなりでつらかったこと。自分の意志がないようで苦しかったこと。親は驚き、涙を流して謝ってくれました。そして、「何があっても応援するから、我慢しないでやりたいことをやってほしい」「あなたが、毎日笑顔でいてくれることが一番。必ず仕合せになって」と。二人の優しいまなざしを感じながら、自分の思いが確かに届いたことを実感しました。 

何でも話して分かり合いたい!

気持ちを伝えれば、親はちゃんと受け止めてくれるのに、「どうせ…」と決め付け、分かり合おうとしてこなかったのは私の方でした。親なんだから、私のすることを無条件に応援してほしい。褒めてほしいと求めてばかり。自分の思いも、どう頑張ったかも言わず、「ちっとも認めてくれない」と考えるのは違っていた、と気付いたのです。

それからは、我慢することも、取り繕うこともなく、何でも話しています。どんなことも伝えて、家族と分かり合いたい。その気持ちがあるため、以前のように、仕事で疲れたからと、家でぶすっとしていることもありません。「きょうは疲れちゃった」「落ち込むことがあって」と素直に伝えられ、家族の励ましで元気が戻ってきます。親に思いを受け止めてもらえるだけで、ものすごく安心し、心がスーッと落ち着くのは本当に不思議。あらためて、両親の愛の深さを感じ、感謝が湧き上がります。 

いつの間にか、食卓がとにかく温かく、みんなが話して、みんなが聞いて、話が尽きない我が家になりました。深い縁があって出会えた家族。お互いを理解し、支え合い、みんなで生き方を高めていこうと、心に誓っています。 

神の教えは
  皆の心(人生)を
    悔いなきものへ導く宝(知恵)
 心素直に「教え」を学び
    心(人生)に据えて
       家族 縁者に触れること
 出会いを深め 互いの思いは重なり
            会話が深まる
 「仕合せ」手にする家庭の姿が
             ここにある

『真実の光・神示 平成29年版』153ページ